【 新専門医制度 】 昨日の専門医機構の社員総会の様子が報道されました

 本日,わたしは厚生労働記者クラブで会見を致しました.
やはり,専門医制度改革は我が国の医療制度の根幹です.

もっと国民の皆様に注目していただきたいと思います.
ちなみに,この写真のなかに,わたしの指導教官だった千田彰一先生がいます.

 

 

 

 

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「延期でかえって大混乱」、池田専門医機構理事長

日本専門医機構が社員総会開催、新役員は6月に決定
レポート 2016年4月25日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)
 

 日本専門医機構は4月25日、2015年度の第3回社員総会を開催し、終了後に記者会見した理事長の池田康夫氏は、「ここで延期すると、かえって大混乱を来す。新しい仕組みを開始できるよう全力で努力していく」と述べ、新専門医制度について、予定通り2017年度開始に向けて準備を進める方針を表明した。社員総会では、社員からも「延期」という話は出なかったという。

 社員総会の主たる議題は、2016年度の事業計画案と、役員選任規定案だったが、予定時間を1時間以上も超過し、議論が展開された。「一番、活発な意見が出たのは役員選任規定」(池田氏)で、さまざまな意見が出たものの原案からの修正はなく、「理事は最終的に社員総会が決議」という定款を確認、了承を得た。

 同機構のガバナンスの不備を指摘する声もある中、理事会のメンバーがどんな顔ぶれになるかに、新専門医制度の行方がかかってくる。6月中旬に開催予定の社員総会で理事を決議、理事長や副理事長は理事会の決議で決めることになる。

 日本医師会会長の横倉義武氏は、社員総会後、役員選任規定が決まったことを受け、機構のガバナンスが変わるかとの質問に、「役員として誰が選ばれるかによる」と明言は避けたものの、組織再編の必要性を示唆した。その上で「延期が目的ではない。そこを間違えないでほしい。地域医療に混乱をもたらさないことが一番重要」と述べ、混乱を避ける手順を取ることができれば、「やっていただきたい」との意向を示した。

左から、副理事長の小西郁生氏、理事長の池田康夫氏、理事の千田彰一氏。
 2017年度開始に向け準備進む

 2017年度から開始予定の新専門医制度では、地域医療への影響から延期論も出ており、3月に開催された社員総会では事業計画案が了承されなかった(『新専門医制、予定通り開始?延期?それとも……?』を参照)。そのため、年度をまたいで開催されたのが、2015年度の第3回社員総会だ。厚生労働省の社会保障審議会医療部会と、その下部組織に当たる「専門医養成の在り方に関する専門委員会」でも、新専門医制度についての議論を進めている(『新専門医、「議論の順番が違う」と異論』を参照)。

 池田氏は、「延期により混乱する」理由として、「各学会が非常に努力しており、初期研修医も準備している」ことなどを挙げた。既に19の基本領域では、研修プログラムの申請が締め切られている(『内科専門医、「研修施設ゼロ」の2次医療圏は1カ所』を参照)。池田氏は、「社保審医療部会の意見を尊重する。全く意見を無視して突っ走ることはできない」と述べたものの、同部会で2017年度開始について「延期」という結論が出た場合でも、専攻医は専門医研修に入ることには変わりはないことから、機構と学会で話し合いながら進め方を検討するとした。

 理事の選任は社員総会の決議事項

 2016年度事業計画案が、3月の社員総会で了承されなかったのは、社保審医療部会で問題視する声が上がっているにもかかわらず、それが反映された内容でなかったためだ。修正された事業計画には、「社保審医療部会等における、新制度の開始時期ならびに専攻医の偏在などに関する議論によっては、事業計画の変更がある。その場合は理事会での議決を経て、社員総会に報告する」旨の記載が加えられた。ただし、「(新専門医制度により)地域医療で崩壊しないなら、それを示す数字を出すべき」(記者会見に同席した、日本脳神経外科学会理事長の嘉山孝正氏)などの注文が付いた。

 役員選任規定は理事の選任、つまりは日本専門医機構のガバナンスを左右する規定であり、「突っ込んだ議論があった」と池田氏は説明。定款上は、「役員の選任方法は、別に定める」となっているため、「細則は、基本的には理事会で承認する」(池田氏)との方針だった。これに対して、「本来であれば、役員選任規定は、社員総会の承認事項にすべきという、根本論のところで、もめた」(嘉山氏)。そのほか、理事候補者は各基本領域からそれぞれ出すべきとの意見、「学識経験者」の選考基準を問う意見など、さまざまな意見が出たという。

 最終的には、(1)社員総会で出た意見を、「役員候補者選考委員会」に伝え、選考を進める、(2)「役員候補者選考委員会」が選んだ理事候補者の名簿を理事会に提示、社員総会の決議で理事を決定――という方針を確認し、了承を得た(役員選任規定の抜粋は、文末を参照)。

 いまだ揺れる理事会と社員総会の関係

 日本専門医機構の社員総会が再三にわたり紛糾するのは、理事会のメンバーと社員構成が異なるのが主因と言える。「役員選任規定」に代表されるように、各議案が、理事会、もしくは社員総会のいずれに決定権があるかがたびたび問題になっている。

 同機構の社員は、日本医学会連合、日本医師会、全国医学部長病院長会議、四病院団体協議会という設立時およびそれに準じる4団体のほか、18の基本領域の学会、日本がん治療認定医機構の計23団体が社員だ。しかし、理事会のメンバーは社員構成とは連動していない。

 そもそも18の学会は、当初は社員ではなかった(『「学会外し」の専門医制度、73学会が覆す』『専門医機構、18学会を社員として認定へ』を参照)。嘉山氏は、「(日本専門医機構の)第三者性が強調されすぎたので、機構と学会との関係がぎくしゃくしている。(機構が)“上から目線”でやっているところもあり、もう少しコミュニケーションを取ってほしい」と指摘。池田氏も、各学会とは密接に議論しているとしたが、「各学会はこれまで努力して専門医制度を構築してきた。学会の自主性を認める制度にしないと、機構が全てをコントロールするやり方では、うまくいかないのではないか」という意見が社員総会で出たことも紹介した。

 新専門医制度の立ち上げに当たっては、今後も新規決定事項が相次ぐこと、また専門医試験をはじめ制度運営の実務や各学会が担うことになることから、理事会と社員総会の役割を改めて整理し、定款で明記しなければ、また新たな混乱を来しかねない。

 「地域医療に配慮したベターなプログラム」

 新専門医制度については、地域医療への影響も懸念されている。池田氏によると、25日の社員総会では、横倉氏が「専門医の質の向上と、地域医療を崩壊させないこと。これらの調和をうまく取りながら進めることが必要」と発言、日本医学会会長の高久史麿氏も、二つのバランスを取りながら制度設計するよう求めたという。

 日本専門医機構副理事長の小西郁生氏は、各基本領域の研修プログラムについて、従来は大規模の病院を中心に専門医研修が行われてきたが、新制度では、基幹病院と地域の中小病院が病院群を形成して研修プログラムを運営することになるため、「従来よりも、地域医療に配慮したベターな研修プログラムになっているのではないか」との見方を示し、大都市部に専攻医が集中しないよう、できる限り調整していくと述べた。

日本専門医機構の社員総会は、午後3時から開始、午後4時30分終了予定が、約1時間超過した。
◆日本専門医機構の「役員選任規定」(抜粋)

◆役員候補者選考委員会に10名以内の委員を置き、1から4に定められた各号の委員構成とする。
1.機構設立時社員及びそれに準ずる社員 (日本医学会連合、日本医師会、全国医学部長病院長会議、四病院団体協議会) より推薦された各1名
2.内科系社員学会 (内科、小児科、精神科、放射線科、病理、臨床検査) から推薦された2名
3.外科系社員学会 (外科、整形外科、産婦人科、眼科、麻酔科、皮膚科、救急科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、脳神経外科、泌尿器科、形成外科)から推薦された2名
4.外部評価委員会から推薦された2名

◆役員候補者選考委員会は、1から5に定められた各号の理事候補者 (25名以内) を選出し、その名簿を理事会に提示する。
1.機構設立時社員及びそれに準ずる社員 (日本医学会連合、日本医師会、全国医学部長病院長会議、四病院団体協議会) から各2名、計8名
2.内科系社員学会 (内科、小児科、精神科、放射線科、病理、臨床検査) から3名
3.外科系社員学会 (外科、整形外科、産婦人科、眼科、麻酔科、皮膚科、救急科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、脳神経外科、泌尿器科、形成外科) から3名
4.専門医育成に関係する団体(日本医療安全調査機構、療研修推進財団)から各1名、計2名
5.学識経験者として7名以上9名以内

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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