目次
経緯
2020年8月6日
ミヤネ屋というワイドショーの番組で、以下のような画面が流れました。
この画面に出ている字は番組が付けたテロップです。
マーケットの動き
マーケット開始で強烈な買いが入ってるじゃないか。吉村知事がイソジン会見を始めたのは午後14時頃なのに、前場開始直後の9時から一気に爆上げしている。前日夜から漏れていたとしか考えられない値動きだよ。 pic.twitter.com/AeYpnv3tmB
— 海乱鬼 (@nipponkairagi) August 9, 2020
テリー伊藤さんが放送前から内容を知っていたと証言
twitter.com/nipponkairagi/status/1292338032331255808
吉村知事「これは情報が漏れたらいけませんから。非常に少ない範囲、ここにいる松井市長、はびきの医療センター、松山先生、藤井部長くらいしかこの(イソジン)情報は知りませんが。」
何でミヤネ屋やテリー伊藤に会見前に流れてんだよ。塩野義の株価が爆上げしたのは事前に漏れてたからじゃないのか。 pic.twitter.com/G2YjWAmi41
— 海乱鬼 (@nipponkairagi) August 9, 2020
吉村さんがテリーさんが事前に内容を知っていたということを撤回したとのべた
twitter.com/nipponkairagi/status/1293173309585018881
『テリー伊藤さん自身が、TVでの発言を撤回されています。インサイダー取引は犯罪です。そのような事実はありません。ネット上での吉村インサイダー疑惑なるものは、名誉毀損になりますので、ツイートやリツイートは削除されるようお願いします。一線を超えるものは、然るべき対応をとります。』
と法的措置をとることをにおわせています。
“うがい薬”祭り、報道番組ディレクターが振り返る舞台裏
2020年08月07日
“うがい薬”祭り、報道番組の舞台裏
「なんでも大阪府知事が、コロナに有効な薬について記者会見を行うというんです。みんな色めき立って、情報収集が始まりました。もしかしたら事前に情報が漏れて、どこかの製薬会社の株が上がっていないか、海外製薬メーカーと付き合いのある商社の株はどうだ? そして、コロナに勝てる! という希望が見えたんです」(益子さん、以下同)
ところが、である。会見の直前になり、その「薬」がどうやら市販のうがい薬らしいという情報が入ってきたのである。益子さんが続ける。
「は? って感じで、拍子抜けですよ。会見を生中継しようと動いていたスタッフも、それならやる意味はねえな、と見送りに決まったんです。会見では予想通り、府知事が某メーカーのうがい薬を宣伝するような内容で、これは流石に生中継しなくてよかった、となったんですが……とあるワイドショーが会見を中継してしまったんです」
そしてすぐにイソジンは売り切れ。
ミヤネ屋の報道後、イソジンうがい薬すぐに売り切れ
ある意味予想通り pic.twitter.com/V6J0oLXR3t— 相沢タツユキ C102お疲れ様でした (@Tatsuyuko) August 4, 2020
吉村さんが正しいといってた高須さん
医学は色々な正解があって怖いですね。 pic.twitter.com/3o4M15UMkl
— samurai (@cum4000) August 6, 2020
高須さんは自分がイソジンを入手できないかもとわかるといきなり態度を変える
いま医者仲間から急報。
僕らが手術に使うイソジンの消毒薬が全ての流通経路から失くなっている❗
買い占めて薄めてうがい薬に転用するつもりか。
イソジンは一番信頼できる一般的な消毒薬なんだ買い占めを止めて速やかに供給しないと全国の手術現場の崩壊が起きる。
すぐに買い占めを止めなさい。— 高須克弥 (@katsuyatakasu) August 6, 2020
本当にどいつもこいつもめちゃくちゃでんな、って感じです ┐(´∀`)┌ヤレヤレ
さらには
新実彰平アナ「(画像テロップ上部の発言についてはその通りだと思うが)我々が引っかかったのはこちら、なぜ大阪は東京と比べて重症者が多いのか?と言われていることに対し【大阪は死亡者を出来るだけ減らすため、早めに気管挿管して人工呼吸を付けると聞いている】という吉村知事の発言である。
— Mu-chan (@Mu_chan3366) August 14, 2020
とまあ重症化予防に早めに人工呼吸器なんて絶対医者たちがやらないことをテレビでのたまわり。
困った知事ですなと思ってました。
国民はなぜこんな【あほな】報道でイソジンを買いに行ってしまうのか?!
それは、『カモ』だから。
なぜカモ?
ネギしょって歩いてるから
どゆこと?
だってキミたち、『このサプリで認知症が100%予防できます。月々たったの3980円!』って言われたら
え~、ヤダ、ほんと?そういえばおばあちゃん認知症になったし、認知症怖いし、100%?!それすごくない?!
やーん、しかもサプリでしょ?薬なら怖いけどサプリだしね、しかも3980円? いいねー ワクワク 欲しい~~~
と
買っちゃうでしょ?!
落とし穴を見ていきましょう
100%の分母は?
母集団をNで表します。
N=1でも認知症を発症しなければとりあえず100%ですね。(笑)
観察期間は?
3日とかですかね?(笑)
飲まなかったら認知症になったのか?
飲まなかった群との比較がありませんので、サプリの効果で予防できたのかどうかが謎ですね。
ほらね。突っ込みどころ満載です
だから、統計処理していないものは一切信じるに値しません。
吉村さんが出した羽曳野医療センターの研究デザイン
www.pref.osaka.lg.jp/kenisomu/povidon/index.html
こちらからダウンロードできます
令和2年8月4日
ホテル宿泊療養におけるポビドンヨード含嗽の
重症化抑制にかかる観察研究について
大阪府立病院機構 大阪はびきの医療センター
次世代創薬創生センター長 松山晃文
【背景】
SARS-CoV2は口腔内でウイルスが増殖、唾液中にウイルス量が多い特性
COVID-19患者の唾液中ウイルス消失低減で、肺炎など重症化抑制可能と想定
ポビドンヨードは広範囲なウイルスに対し、殺ウイルス効果を有する
【これまでの研究成果】
ホテル宿泊療養COVID-19患者を対象(府健康医療部のご協力)
ポビドンヨード含嗽の有無と唾液PCR陽性頻度を評価
結果:ポビドンヨード含嗽で宿泊療養者の唾液ウイルス陽性頻度は低下する【本観察研究の概要】
ホテル宿泊療養施設でのポビドンヨード含嗽の重症化抑制にかかる観察研究
大阪府市と連携のもと、大阪ホテル宿泊療養施設を研究fieldとする。
入所者にポビドンヨード含嗽をして頂く。
当該含嗽者データ、既存非含嗽例データを大阪府市から提供頂き、比較検討。
宿泊療養から医療機関への入院搬送をendpointとして評価。
【大阪府市・府立病院機構・はびきの医療センター連携の枠組み】
大阪府市の役割:宿泊療養の健康観察項目と医療機関入院情報の提供
はびきの医療C :研究倫理申請・審査、研究の実施、解析
府立病院機構 :研究リソースのサポート
【波及効果】
ポビドンヨード含嗽によるCOVID-19患者唾液中ウイルス低減・消失の加速
患者さんへの寄与:唾液ウイルスの誤嚥によるCOVID-19肺炎への悪化抑制
医療現場への寄与:重症例比率低下による医療負荷の軽減
問題点
1.ポビドンヨードをどれくらいの濃度でうがいさせているのかが不明である。
☛こんなの学会発表もできません。ましてや論文なんて査読を通りません。
2.母集団の数が資料では示されていないが
news.yahoo.co.jp/articles/2dba17743cf47ceb322ae3b88a06099a52bac7c3
報道内容からは N=41 である。しかも両群あわせてなので片方は20くらいと推定される。
松山センター長らは、41人の感染者を「ポビドンヨードを含むうがい薬で1日4回うがいをする」グループと「うがいをしない」グループの2つに分けて研究。4日目の陽性率を比較すると、「うがい薬でうがいをした」グループは9.5%。一方の「うがいなし」のグループは40.0%との結果が出たと発表しています
☛ 効果がある とするにはまず 有意な差をもって ということが大前提であり、統計処理しなければそういえないが
全体で41の母集団で有意差が出せるような統計処理可能なのか?!
はっきり言って サンプルサイズ大丈夫なの?!
というか、統計処理したらその数値が通常一緒に発表されますが、羽曳野医療センターでは臨床試験をちゃんとやったことがあるのでしょうか???
☛わかりにくいかもしれませんが、出産を考えてみましょう。
男女はただの偶然ですよね。精子側がもっているのがY染色体かX染色体かだけで性別が決定します。
6人の子供が全部男の子、全部女の子。これ、どちらも偶然ですよね?
そうやって偶然同じ結果が偏るって言うことがあるのですよ。
じゃあ、それが本当に差があるのかを明らかにするためには、ちゃんと統計処理して有意差が出せるような研究計画を立てないといけないのです。
それをしないと、この 『「うがい薬でうがいをした」グループは9.5%。一方の「うがいなし」のグループは40.0%との結果が出た』の9.5%と40.0%が 偶然ではなくいつもこの結果になるのだ=有意な差をもってイソジンうがいが勝っている ということが証明できないんです。
ということで、羽曳野医療センターの研究計画自体がまったく 謎 レベルでいったいどうやって倫理審査を通したのかわかりません。
倫理審査委員会があっても、倫理審査自体を適切にする能力があるのか大変疑問な医療機関が多々あります。
それにしても、大阪府知事ともあろうものが、こんなレベルの研究発表で日本全国からイソジンがなくなったという事実は真夏の怪談ですね。
恥ずかしい限りの間抜けです。
3.うがいという物理的に口腔内を洗い流すという行為でもウイルスがある程度洗い流せ、うがいなし、水うがい、ポビドンヨードうがいの3群を比較したスタディでは水うがいが上気道感染予防に最も効果が高かったという研究結果がある。
www.hoken.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2015/03/gargle2007.pdf
www.ajpmonline.org/article/S0749-3797%2805%2900258-8/abstract
4.羽曳野医療センターの資料から
【波及効果】
ポビドンヨード含嗽によるCOVID-19患者唾液中ウイルス低減・消失の加速
患者さんへの寄与:唾液ウイルスの誤嚥によるCOVID-19肺炎への悪化抑制
医療現場への寄与:重症例比率低下による医療負荷の軽減
イ)唾液ウイルスの誤嚥によるCOVID-19肺炎への悪化抑制 はこのスタディではわかりません。
どちらの群からも肺炎を起こした人がいないようですので、『肺炎悪化』を抑制したかどうかについてはなおさらわかりません!!
ロ)重症例比率低下による医療負荷の軽減 についてもこのスタディではわかりません。
母集団が少なすぎて重症化したひとがいない状態で、どうやって『重症例比率低下』をさせることで医療負担を減らせる効果がある、と言えるのでしょうか????
これらを言いたければ、母集団数がずっとたくさん必要なはずですよ。
とかとかとかとか突っ込みどころが満載なのですが
一般の方々にはわからないみたいなので。
サルでもわかる医療統計 というコーナーをしばらく順番に連載します。
みなさん、私と一緒に カモ から脱出しましょう!!
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