陰性になってから再度陽性はどうして?

COVID-19

 

COVID-19に感染して陰性になってからまた陽性ってどうしてですか?

 

PCR法はウイルスの全部を見ているわけではなく,一部の特徴的な塩基配列の有無だけを見ています.なので,分離による感染性ウイルスの検出より,約100~1000倍感度が良いとされているのですが,これが実際にはクセモノです.

主要な症状が消失したあとでもウイルスが検出されるのですが,これは,感染性と相関しません。リンクをクリックしていただくと,別ページに詳しく書いています.
PCR法では,回復期には陽性陰性を繰り返すものなのだ思ってください.
ウイルスが徐々に消えていくからです.

それでは,コロナウイルスに感染してから,また感染する,つまり,免疫がきかなくなる再感染の時期っていつになるのかが気になりますよね?
ウイルスによるのですが,大体3カ月くらいは再感染せず,6カ月ぐらいでは再感染するが免疫機構が働いて発症しないといわれています.1年くらいたまったく変わらないウイルスもあります.

麻疹,水痘,風疹などは,子どもの感染で親の抗体価は上昇するが,親御さんは発症しません.
これらの感染症では潜伏期間が長いため,再感染してから記憶してある免疫細胞(メモリーTセルといいます)が働いて,発症に至る前におさえてしまうと考えられています.

コロナウイルスはどうでしょうか?
潜伏期間は3日くらい(最長14日)との短めなので,再感染すると記憶T細胞が働いて抑え込む前に発症すると考えられます.

COVID-19で入院して回復後に検査で2回陰性だったのに,その後またPCR陽性となった人がいましたよね?
別に不思議ではありません.
感染性のあるウイルスを排出している状態は約7日.
その後,症状が亡くなってもPCR自体は比較的長期間陽性である,ということで
不完全なウイルスを作り続けているのかな?と思います.
minerva-clinic.or.jp/covid-19/about-virology/2-2/#defective_virus
こちらの,『欠陥ウイルス』という項目を見てください.
陰性になった人でも欠陥ウイルスをしばらく作るようなので,ウイルスの完全消失までの経過で多くみられることであって,再感染とは考えにくいように考えます.

 

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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