新型コロナ日本はラムダ株を隠蔽か?|米国の報道と東京大学のラムダ株感染性高いとの研究報告

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ラムダ株が日本で1例登録されたことを意味するGUSAIDのバリアントトラッキングページ

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ラムダ株が日本で1例登録されたことを意味するGUSAIDのバリアントトラッキングページ

7月20日、空港でラムダ株が検出。公表されず。変異株登録サイトにはオンタイムで登録されたので、8月6日に米国のニュースサイトで隠蔽したと報道されました。加藤官房長官が8月18日の記者会見でラムダ株はVOIではないと非常識に述べた理由を説明します。

加藤官房長官は8月18日にラムダ株はVOIではないと記者会見で発言

デルタ株、ラムダ株といった新型コロナウイルスの変異株。

8月17日、加藤官房長官ならびに西村コロナ大臣が「ラムダ株はVOIならびにVOCではないので公表しなかった」として、ラムダ株を公表しなかったことを正当化しました。

しかし、こうした変異株がその感染性やワクチンの効果、重症化率などに与える効果などからその病的意義の定義はWHOが決めています。

大変驚いて以下のようにツイートしました。

ところが、フォロワーから教えてもらったのですが、日本の感染研がラムダ株をVOIでもVOCでもないと言っているようなのです。以下、国立感染症研究所のHPから引用します。

WHOはC.37系統の変異株(ラムダ株)(以下、C.37系統(ラムダ株)、と記載。他の変異株の表記も同様に略)を注目すべき変異株(VOIs; Variant of Interest)に位置付けた。検疫・国内では報告がないため、現時点ではVOCs/VOIsへの位置付けは行わず、ゲノムサーベイランスで発生動向を注視していく。

一体どういうことなのでしょうか?国立感染症研究所長の脇田隆字(わきたたかじ)さんは、日本の新型コロナ感染症の専門家会議のメンバーでもありますが、この件に関して記者会見を開いて説明すべきでしょう。現代社会では海外で流行する新興感染症が世界の物流・人流とともに日本に容易に入ってきます。したがって、日本独自にVOI,VOCの定義を決めることにどれくらい意味があるのかが全くわたしにはわかりません

WHOの新型コロナウイルス変異株の定義のページには以下のように書かれてあります。

WHOとその国際的な専門家ネットワークは、ウイルスの変化を監視し、重要なアミノ酸置換が確認された場合には、その変異体への対応や拡散防止のために必要な変更について、各国や一般市民に知らせることができるようにしています。 世界的には、潜在的なVOIやVOCの「シグナル」を検出し、世界の公衆衛生にもたらされるリスクに基づいてこれらを評価するシステムが確立され、強化されています。各国当局は、地域的に関心のあるその他の変異体を指定することもできる。

つまり、各国が世界のどこにもない変異株が自国で報告されたときに、WHOよりも「厳しくする(エスカレーション)」は自ら指定することは可能ですが、この逆、つまり、WHOが決めた変異株のVOI、VOCを緩める(デエスカレーション)に関しては認めると書かれていません

国立感染症研究所は一体だれが何を曲解してこのようなことをしたのでしょうか???これが「国立研究所」なのですから日本の恥ですね。

米国での報道のされかた

米国ニュースサイトでは8月6日に、東京はオリンピック直前に命に関わる新しいCOVIDの変異株を隠蔽したと報道されています。
この記事を日本語にいたしましょう。

The Daily Beastは、日本がオリンピック開催の3日前に、感染力の高いラムダ型の感染者を東京で報告したことを明らかにしました。そして、それを黙殺したのです。

東京-オリンピックが始まる3日前の7月20日、日本の国立感染症研究所は、感染力の強いラムダバリアントが日本の空港検査で初めて検出されたことを国際機関に報告したが、公表しなかった。

この報告は、GISAIDと呼ばれる国際的なCOVID-19およびその他のインフルエンザウイルスのデータベースに提出されました。南米と日本の科学者からの予備的な報告によると、ラムダ型はワクチンに対する抵抗力を高めている可能性があります。ラムダ型の科学的データは、デルタ型などのCOVID-19型に比べて限られていますが、国内での感染が急増している中、空港で検出されました。金曜日には、日本で確認されたCOVID-19の総症例数が100万人を超え、ラムダの登場は問題をさらに複雑にしています。今のところ、確認された感染者は1名のみのようです。

日本政府は詳細を発表していませんが、国立感染症研究所の研究者がThe Daily Beastに語ったところによると、この亜種は空港の検査で発見されたものであり、市中感染ではないとのことです。この関係者によると、変異株の検出を発表する予定はあったが、オリンピックが終わるまでは発表しないとのことです。

国立感染症研究所の職員によると、これまで新しいバリアントが発見されると、有名なバリアントであれば3日以内に発表されてきましたが、最大で11日かかることもあるそうです。今年は、1月2日にブラジルからの旅行者4人にコロナウイルスの陽性反応が出ました。研究所での分析の結果、厚生省は新しい亜種であると判断し、日曜日である1月10日に発表しました。通常、日本で初めて大きな新種が発見された場合、厚労大臣は記者会見を行います。12月には、英国を訪問して羽田空港に到着した日本人女性が、空港での検査で陰性と判定されました。その後、体調を崩し、12月19日に検査を受けたところ、ウイルスが陽性であることが判明しました。厚労省はイギリスの亜種と判断した後、8日後の12月27日に発表した。

政府関係者は、最初のラムダ変種検査がいつ行われたかをThe Daily Beastに伝えようとしなかったが、GISAIDに発見を伝えてから17日が経過した。

水曜日にGISAIDのウェブサイトでラムダ報告書を発見した後、デイリービーストは保健省、NIIDに接触し、公に情報提供を求めました。厚労省は、最初はだんまりを決め込み、金曜日に詳しい情報の連絡を待つように言った後、国営放送にこの事件の発表を滑り込ませた。NHKはこのニュースを、原因不明の長い遅延については触れずに報じた。

GISAIDのウェブサイトのトラッカーでは、当局が確認を拒否する中、不思議なことにラムダが日本にいることが示されていた。

先月、東京大学の研究チームが、ラムダの変異体は感染力が強く、ワクチンで獲得した免疫に対して検出可能な抵抗力を示すという研究報告(プレプリント)を発表しました。この変異株が最初に発見されたペルーでは、現在、感染の90%以上がラムダ株とされています。東京大学の研究チームは、この変異株が「人類社会の脅威となる可能性がある」と考えています。

日本の国立感染症研究所は、7月20日、GISAIDデータベースにラムダバリアントの発見を報告しました。このデータベースは、2020年1月初めにSARS-Cov-2の最初の完全なゲノム配列を共有し、それ以来、250万件近くの投稿が記録されている。このグループにデータを提出する研究機関は、認証情報を確認し、データベースアクセス契約に署名する必要があります。

今回の変異体は、東京にある国立感染症研究所のSARS-CoV-2検査チームと、同研究所の病原体ゲノミクスセンターから提出されたデータによって確認されたものです。同研究所感染症リスク管理センターの花岡望上席研究員をはじめとする数名の研究者が提出書類に署名した。GISAIDが8月4日に更新した感染経路追跡データによると、この亜種は、米国を経由して旅行中の感染者によって日本に持ち込まれたと考えられます。

厚労省関係者によると、この30代の女性は、7月20日にペルーから日本の羽田空港に渡航し、検査の結果、ラムダ亜型の陽性反応が出たとのことです。

ペルーから東京の羽田空港または成田国際空港への直行便はないと言われており、通常は米国で2回以上乗り継ぐことになります。ペルーからの旅行者は、カリフォルニア州のロサンゼルス国際空港、ニューヨーク州のジョン・F・ケネディ国際空港、ワシントン州のシアトル・タコマ国際空港を経由して、最終的に東京に向かうことが多いようです。

今回の発見について、国立感染症研究所には詳細な情報を求めていますが、まだ回答はありません。例えば、オリンピックの参加者が日本に持ち込んだものなのか?どこに隔離されていたのか?

デイリービースト紙の取材に匿名で答えた国立感染症研究所の職員は、「私には公言する権限はありませんが、私の知る限り、この亜種は空港の検問所で検出されたもので、自然界には出回っていません」と語っています。この社員によると、通常、新しい亜種が発見された場合、その情報はすぐに広まるが、今回はそうではないという。厚労省では、この情報はオリンピックが終わってから報告したほうがいいというコンセンサスがあった」という。それは、ニュースの流れが遅くなってからの方が認知度が上がると考えたからなのか、それとも、オリンピックに関連して恥ずかしい思いをする可能性があるからなのか、私にはわかりません」。

厚労省の担当者がThe Daily Beastに語ったところによると、ラムダ型は7月20日頃に空港で検出され隔離されたため、日本に「上陸」したわけではないとのことです。「これは、適切な検査プロトコルが機能していることを意味しています」と述べています。

この担当者は、ラムダ・バリアントの感染力、ウイルス性、ワクチンへの反応性については、科学的な情報が限られていると詳しく説明しています。

“我々は常に亜種の広がりと挙動を監視しています。しかし、データが限られているため、Lambda株がどの程度危険なのかを断言することはできません。これと同じ理由で、デルタ型との比較も困難です。

SARS-CoV-2 Lambda variant shows higher infectivity and immune resistance」という論文の共著者の一人である東京大学のウイルス学研究者、佐藤圭氏は、日本でLambda variantが報告されている事例を知っていることをThe Daily Beastに確認しましたが、それ以上の詳細については知らないと述べています。

ラムダ株の感染性の高さを報告した東京大学のプレプリント論文

先ほどの米国のデイリービーストに紹介された東京大学のプレプリント論文をみてみましょう。

タイトル:SARS-CoV-2のラムダ型は高い感染力と免疫抵抗力を示す

アブストラクト:
SARS-CoV-2 Lambdaは、現在、南米諸国で流行している注目の新種であるが、そのウイルス学的特徴や進化的特徴はまだ不明である。本研究では、ラムダ型のスパイクタンパク質の感染力が高いことを明らかにし、その原因がT76IとL452Qの変異にあることを明らかにした。RSYLTPGD246-253N変異は、ラムダのスパイクタンパク質のN末端ドメインに存在する7アミノ酸の欠失変異であり、中和抗体からの回避に関与している。RSYLTPGD246-253N変異を持つ分離株の頻度の増加に伴い、Lambda variantが優位に拡大していることから、RSYLTPGD246-253N変異の挿入が、南米におけるLambda variantの大規模な感染拡大と密接に関連していることが示唆された。

ラムダ株の変異と感染力・中和抗体に対する抵抗性

国立感染症研究所の変異株情報は7月6日から更新されていない

上記の論文がプレプリントサイトに投稿されたのが2021.07.28です。

しかし、国立感染症研究所は変異株に対するHPを7月6日から更新していません。
国立感染症研究所がラムダ株をVOIではないと記載しているページ

ペルーからアメリカ経由で入国した人からラムダ株が検出され、隔離により感染力をうしない、水際対策が成功した、という事例であるので、デルタ株が蔓延して緊急事態宣言が続く中、国民の「知る権利」に答えるべきですが、厚生労働省は感染研から報告がないと何もできません。

こうした後手後手な発表の仕方は国民の行政や政治に対する不信を招き、結果として緊急事態宣言などの要請に応じてくれる国民が減るのです。

そういう意味で、このクソ偉そうな感染研のやり方は全くもって理解できないし、非難されて当然だし、厚生労働省は感染研は国の機関であるのでもっと感染研に介入すべきでしょう。

要するに感染研があほなんですわ。

こんな時期に政権を陥れたいのか??実は感染研は反政権なのか???そう考えると腑に落ちますね(笑)

まとめ

わが国がいろんな場面で隠蔽する体質にあることは事に医療においては確かです。しかし、隠すと隠したこと自体で信用を失うので、今回、隠したつもりはなくても感染研の判断が誤っていて結果的に隠したという報道が米国でなされたわけですので、感染研には猛反省していただきたいです。

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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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