ウイルス感染と免疫応答【1】総論

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免疫とは?

ウイルスや細菌などの感染性異物(病原体)が入ってきたとき,それをやっつけようとして応答する仕組みを免疫と言います.

ウイルス感染に対する免疫応答は感染した宿主を守る鍵となります.
ウイルス感染による炎症や発熱,肺炎など多くの症状の原因にもなりうる多くの場合,実際には感染の制御に役立っているため,解熱剤などで抑制してしまうと,長引くといわれています.

発熱はウイルスの増殖に適さない温度環境を作ります.
炎症は免疫応答細胞を感染部位へ誘導します.

免疫応答はたしかに病気の一部分です.
しかし,免疫系のはたらきでウイルスの複製を阻害し,感染拡大を抑制し,病気の経過を変え,感染の制御に役立ちます.

宿主による効果的な免疫応答がないと,多くのウイルス感染は最終的には致死的になります.
みなさんは,風邪のとき,お医者さんに行って薬をもらっていますが,薬でなおっているわけではなく
ご自分の免疫の力でなおっているのです.
感染症における治療薬は,免疫の力を補助する役割しかありません.
免疫がゼロだと決して助からないのです.
骨髄移植を受けたりという低免疫状態の患者さんは,たとえば幼いころにかかった水ぼうそうのウイルスってほとんどの人で持続感染が再活性化し,普通なら帯状疱疹ですむところ,全身に広がったりします.
このように,免疫系が強く抑制された患者(immunocompromized host) では,通常の非病原性感染が菫篤化します.

死に至らしめることさえあるウイルス感染の帰結は様々である.

ウイルス感染の転帰(帰結するところ)で最も理想的なのは,感染ウイルスが完全に溶解・除去されることですよね.
これが最も多い転帰となっています.

しかし,制御できないウイルス感染は宿主を殺すこともあります.
ウイルスに対する免疫応答が自己を傷害するような不適切な免疫応答(宿主側の要因)が宿主に害をもたらすこともあるのです.

新しい宿主に伝播する能力を高めるために,持続感染を成立させるウイルスもいます.

感染細胞した細胞は増殖性を変異させることがあり,そうした細胞が免疫系から逃れて増殖しつづけたとき,腫瘍を引き起こす(発がん性oncogenesis)こともあります.これはDNAウイルスに多いです.

ウイルス感染に対するヒトの免疫応答は大きく2つに分かれます.

自然免疫系innate immune svstem:

宿主にはなく, かつウイルスに存在する非自己分子を認識して,免疫応答をします.
この迅速な応答は次に,適応免疫系adaptiveimmunesystemに引き継がれます.

適応免疫系

この応答は開始するまでに時間がかかりますが,病原体を特異的に認識し破壊することができます.
適応免疫応答には2種類あります.
リンパ球にはいろいろ種類があるのですが,
1つはB細胞(リンパ球の一種)が産生する抗体を媒介する血清学的serologicalもしくは体液性humoralシステム.
もう一つはT細胞が介在するシステムT-cell-mediated systemである.

それでは,順番にこれらの特徴についてみていきましょう.

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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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