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妊婦の新型コロナウイルス感染については、専門家の間でもまだ分からないことがたくさんあります。妊娠しているかどうかで新型コロナウイルスに対するかかりやすさに変わりはりません。
ただ、妊婦さんが新型コロナウイルスに感染すると、同年代の妊娠していない女性よりも重症化してICU(集中治療室)で治療を受ける可能性が高くなるようです。妊娠している方の場合、35歳以上、肥満や高血圧や糖尿病があるのいずれかが該当する場合に重症化する可能性がもっとも高くなるのっですが、90%以上の妊婦さんは出産までに回復しており、入院する必要もないようです。妊婦さんで死亡率が高くなる、などということはない、とされていたのですが、最近では妊婦さんでは新型コロナウイルス感染症COVID-19による重症化のリスクが高いというエビデンスが増えていることから、新型コロナウイルスSARS-CoV-2 への曝露を避けるために公衆衛生上の注意事項を綿密に守るようにしましょう。
妊娠中にコロナウイルスに感染した場合にみられる症状などの割合
11000人の妊婦さんや最近まで妊娠していた女性を分析したデータによると以下のようになっています。
出生前診断 | 割合 % |
---|---|
肺炎 | 49 |
カニューラによる酸素投与(経鼻) | 30 |
重症化 | 13 |
ICU入院 | 4 |
人工呼吸器による換気 | 3 |
体外膜酸素化(ECMO) | 0.8 |
死亡 | 0.6 |
妊婦さんが新型コロナウイルスに感染した場合、ICU入院率は一般の方々よりも1.62倍高くなっています。
妊婦が妊婦さんが新型コロナウイルスに感染した場合に重症化と関係する3つの要因とは?
この研究では、重症化またはICU入院に関連する危険因子には、以下のものがありました。
- 35歳以上の年齢
- 肥満
- 糖尿病の既往
また、疾病対策予防センター(CDC)COVID-19対応妊娠・乳幼児連携チームの報告書では、検査室で症状のある SARS-CoV-2 感染が確認された2万3千人以上の妊婦さんと38万千人以上の妊娠していない生殖年齢の女性を比べてみると、妊婦は以下のリスクが高いことがわかりました。
- ICU入院(1000例あたり10.5対3.9)
- 侵襲的人工呼吸(1000例あたり2.9対1.1)
- ECMO(1000例あたり0.7対0.3)
- 死亡(1000例あたり1.5対1.2)
併存する疾患のある女性と高齢女性は、特に母体に有害な転帰(なおる、よくなる、わるくなる、とかという病気の結果帰結する状態をいいます)をとるリスクが高くなっています。
しかし、この研究では、陣痛・分娩のみを目的とした入院とCOVID-19にかかったことによる入院なのかが区別されていないので、もっとちゃんとした枠組みで見てみる必要がありそうです。
妊婦さんが新型コロナウイルスに感染して重症化しやすい理由とは?
この理由としてまず考えられることは、妊婦さん、特に妊娠末期の妊婦さんはお腹が大きくなりますので、肺が十分に膨らむことができにくく、換気が悪くなることが考えられています。
まとめ
妊娠中に新型コロナウイルスに感染してもほとんどの妊婦さんは無症状から軽症ですので、過剰に怖がらず、しかし甘く見ず、しっかりとマスクと手あらいを徹底してソーシャルディスタンスをとり、かからないように頑張りましょう。
ミネルバクリニックでは、出生前にあかちゃんの健康状態をみることができる「出生前診断」を行っており、また、院長が総合内科専門医であり、がん薬物療法専門医と臨床遺伝専門医の資格ももっていることから、「コロナ大丈夫?」とか、「妊娠中に乳がんになったんだけど」とか出生前診断に特化した医師とは一味違う幅広い皆様の不安におこたえしております。
妊娠出産に関してご不安なみなさま、遠慮なく是非ご相談ください。
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