新型コロナウイルス(SARS-cov-2)とは?

COVID-19

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ウイルスってなあに?

病原体のひとつですが、とても小さく、自分で細胞を持たない点が細菌との違いです。ウイルスには細胞がありませんので、他の細胞に入り込んで生きていかないといけません。ウイルスは宿主(感染する対象)に侵入し、宿主の細胞の中に入って自分のコピーを作らせます。そして、細胞が破裂してたくさんのウイルスが飛び出し、またそのウイルスたちがほかの細胞に入りこむ、という形で増殖します。

ウイルスが感染する対象

ウイルスはさまざまな生物に感染します。
1.動物: 哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫
2.植物
3.かび
4.細菌(特別にバクテリオファージと呼ばれます)

ウイルスの種類

国際ウイルス分類委員会の分類では、全部で3万種くらいのウイルスがあります。
そのうち、哺乳類と鳥類に感染するウイルスは約650種ですが、1つの種はさらにいくつものタイプに分けられます。
ヒトは一生で大体200回くらいウイルスに罹患していると報告されていますが、多くは風邪などの軽い症状、もしくはほとんど症状を引き起こさないため、感染したことも気づかないで済んでいるため、不顕性感染と呼ばれます。
あまたのウイルスのうち、重い病気を引き起こすのほんの一部です。

核酸の型による分類

DNAウイルス

1.1本鎖DNAウイルス

主に細菌を宿主とするファージに見られます。

2.2本鎖DNAウイルス
ウイルス科増殖部位大きさnmエンベロープ核酸の種類
アデノウイルス70~90なし線状2本鎖
ヘパドナウイルス細胞質42あり環状2本鎖
ヘルペスウイルス核膜150~200あり環状2本鎖
パポバウイルス45~55なし環状2本鎖
パルボウイルス18~26なし線状1本鎖
ポックスウイルス細胞質230×400あり線状2本鎖

RNAウイルス

ウイルス科増殖部位大きさnmエンベロープ核酸の性状文節
アレナウイルス細胞膜50~300あり線状1本鎖2
ブニヤウイルス小胞体・ゴルジ装置膜90~100あり線状1本鎖3
コロナウイルス小胞体膜80~160あり線状1本鎖1
カリシウイルス細胞質35~40なし線状1本鎖1
フィロウイルス細胞膜80あり線状1本鎖0
フラビウイルス不明45~50あり線状1本鎖
オルソミクソウイルス細胞膜80~120あり線状1本鎖8
パラミクソウイルス細胞膜150~300あり線状1本鎖1
ピコルナウイルス細胞質20~30なし線状1本鎖1
レオウイルス60~80なし線状2本鎖12
レトロウイルス細胞膜100~120あり線状1本鎖1
ラブドウイルス細胞膜75~180あり線状1本鎖1
トガウイルス細胞膜50~70あり線状1本鎖1
粒子内RNA

mRNAと同じ極性を持つプラス鎖RNAウイルス
mRNAと相補的な極性を持つマイナス鎖RNAウイルス
二重鎖RNAウイルス
に分けられます。

真核細胞では原則として一つのmRNAから一つのタンパクしか翻訳されないのですが、ウイルスのRNAは短いのでこれを解決しないといけません。

(1)一つのmRNAから巨大な前駆体タンパクが出来て、これがプロテアーゼという酵素で切断される
(2)ウイルスゲノムがそれぞれのタンパクをコードする分節RNAからできている
(3)ウイルスゲノムの一部が転写され(subgenomic RNA)、それぞれの mRNA がそれぞれ一つのタンパクをコードする

という3種類の方法があるようです。

ウイルス遺伝子の複製は、
(1)感染後、ウイルス粒子中のRNAと相補的な極性を持つRNAが読まれ、
(2)それを鋳型としてウイルス粒子に取り込まれるRNAが出来る
という過程で行われます。

ウイルスタンパクはプラス鎖RNAウイルスならゲノムRNAから、マイナス鎖RNAウイルスなら相補的プラス鎖RNAを鋳型として翻訳されます。
ウイルスタンパクには、粒子を作る構造タンパクとポリメラーゼのような非構造タンパクがあります。
ウイルス粒子は構造タンパクとRNAの会合により形成されます。
ウイルスゲノムRNAにはウイルスタンパクに包み込まれるのに必要な特定の塩基配列があり、これをencapsidation signalといいます。

プラス鎖RNAウイルス

RNAから1つのタンパク前駆体が出来るウイルスです。
RNAから巨大な前駆タンパクが出来て、それがウイルスのコードするプロテアーゼにより切断(processing)され、成熟タンパクとなります。エンベロープを持たないpicornavirus、エンベロープを持つflavivirusが代表です。

プラス鎖RNAウイルス

相補RNA(-RNA)を鋳型とし subgenomicなmRNAが転写されるウイルス群です。
プラスの極性を持つ1本鎖RNAウイルスで、エンベロープを被っているトガウイルス、コロナウイルス、エンベロープを持たない植物ウイルスのタバコモザイクウイルスがこの群にはいります。

※ エンベロープ

コロナウイルスの構造

エンベロープとは、脂肪・タンパク・糖タンパクからできている膜で、ウイルスが増殖して細胞から飛び出してくるときに細胞の成分をまとって出てきたものです。
エンベロープは脂溶性ですので、アルコール消毒が有効です。
もう一枚中にあるキャプシドはタンパクでできているので、アルコールは無効です。

コロナウイルスとは?

特徴

コロナウイルスはエンベロープをもっているので、エタノールや有機溶媒で容易に不活化できるます。
RNAウイルスの中で最大のゲノム(遺伝子)を有しており、プラス鎖一本鎖RNAウイルスです。
塩基は約3万個あります。

ヒトに感染するコロナウイルスには
ヒト呼吸器コロナウイルス(229E,OC43,NL63,HKU-1)
重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルス(2002年にアウトブレイク)
中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス(2012年~)
新型コロナウイルスSARS-cov-2があります。

SARS-cov-2とSARSは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)2をレセプターとして細胞に感染します。
ACE2は炎症や酸化ストレスから心臓・腎臓や血管を保護する働きをします。
血圧を上昇させ心臓血管を傷めるアンジオテンシンⅡを作るACEとは反対に働くと考えられています。
ARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)やACEI(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)を服用している高血圧患者やチアゾリジン系糖尿病薬を服薬している2型糖尿病患者はACE2が増えているとランセットに報告されました

SARS-cov-2の特徴

新型コロナウイルスの103株の遺伝子を比較すると、2万8144番目の塩基(ORF8の81番目の塩基)の違いによってアミノ酸をセリン(S型)とロイシン(L型)に分けると、L型は中国・武漢で,1月7日以前の分離株の約96%でした。

S型は武漢以外で1月7日以降に分離された株の約38%を占めていました。

L型のほうがS型より攻撃性が高いと考えられています。
このふたつは約1万個の特定部位のアミノ酸の1つの違いなので、免疫学的に違うウイルスではないため、2回感染するとは考えにくいのですが、ウイルスの病原性や広がりの研究には重要となります。

こちらのサイトは、ウイルスの変異が順番に登録され、どういう風に拡大していったのかなどを時系列で追跡することが可能です。

ORF8の81番目の変異で色分けしてみると、下の画像のようになります。(リンクをクリックしても大丈夫です)

nextstrain.org/ncov?c=gt-ORF8_84

これを見ると、アメリカはS型(黄色)が優位だということがわかりますね。

ヨーロッパは全体として緑のL型が優位です。イタリアの死亡率は高いのですがイタリアで優位なのはL型です。

日本はどうでしょうか?

うーん。。。東京の株の多くはS型(黄色)のようですが、緑のL型もあります。
東京も広がらないように頑張らないといけません。。。

L型S型について頭が混乱して逆に出してしまい、訂正しました。
あと、L型が拡散されていくときにS型に変異して強毒化したのかと勝手に思ってたら、Sのほうが祖先型のようです。。。また調べて書き足します。それと、S型のほうが本当に攻撃性が低いのかについても、仮説の段階であって、証明されていません。なので、結局のところはLSどちらにしても感染拡大【しないように】するしかないんです。どっちも油断はできません。強敵です。

※岡田晴恵さんが、テレビ朝日のモーニングショーで、感染研がデーターを隠蔽しているとか言っていましたが
こういうところに登録もちゃんとされますので、隠蔽なんてしないですよ。隠蔽しても何のメリットもないですから(笑)

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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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