ヒロクリニックNIPT虚偽広告|デュシェンヌ型(Duchenne)型筋ジストロフィーがNIPTで検出可能?!

出生前診断 遺伝子検査

このページを作ったのは、「公益的」目的です。医業広告が規制されているのは、患者さんが自由意思で医療機関を選択することの妨げになることを阻むためです。それに、虚偽の広告はどの世界でも忌避されなければなりません。皆さんに、「本当のこと」をお知らせしたいという遺伝専門医としての思いでこのページを作りました。事実を適示して相手の社会的地位を棄損すると名誉棄損になるのですが、「真実性」と「公益性」があれば違法性は阻却されます。わたしは医師歴8年目に中央大学法学部に行きましたので、それらの知識を生かしてこれからも、患者さんのためにならない虚偽広告と戦いたいと思います。

みなさま、こんにちわ。
昨日、うちの師匠(といっても複数いますのでどなたかは秘密)と話をしていたら、卒倒するようなことを言われました。
いや。腹抱えて笑いましたが。

師匠:あのね。最近、デュシェンヌ型(ドゥ・シャンヌ型)筋ジストロフィー(DMD)の遺伝カウンセリングの教材作っててね。NIPTでできるってうたってるところがないか調べたらあったのよ。
洋美:は?!DMDはできませんよ。母親がキャリアの場合はかろうじてNIPTで可能ですが。それもまだななかなかです。
師匠:それが。調べてもらったらあったのよ。ヒロクリニックね。
洋美:は~。?????うちでもできませんが。。。。
師匠:それがね。見たら、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)が、7Mb以上の大きさの欠失ならわかるって、詐欺みたいなもんよ、わかるでしょ。
洋美:は?!日本人の場合は欠失が多いですが、そんなに大きなサイズの欠失ではないですよ。。。
師匠:そもそも元々の大きさが人体最大と言っても2.5Mb(約250万塩基対)なのに、7Mbってね(笑)遺伝子の全部より大きいじゃない。(笑)以前、全欠失っていう例がありましたが、その場合は隣の遺伝子も飛ぶので副腎皮質ホルモンが足らないという症状があります。7Mbの欠失でいったいデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)のどれくらいを検出できるのか、ほとんど検出できない、ゼロに近い率なのに、「できる」とうたうなんてすごいわね。

そこで、わたし、まじめにヒロクリニックのサイトをこの部分だけですが見てみました。
確かに書かれてあります。

nipt.hiro-clinic.or.jp/nipt/microdeletions/

ヒロクリニックNIPT

そして。こちらは東京医科歯科大学の難治疾患研究所の市民公開講座の資料。
www.tmd.ac.jp/mri/koushimi/shimin/kuroyanagi02.pdf
DMD東京医科歯科大学の難治疾患研究所の市民公開講座の資料
この中に、DMD遺伝子は約250万塩基対=2.5Mb と書かれてありますね。

つまり7Mb以上の大きさの欠失や重複しか検出できない手法で、全体の大きさが2.5MbしかないDMD遺伝子の欠失を検出することは科学的にできません

ちなみに、これは医業広告ガイドラインの「虚偽広告」に該当し、禁止されている行為です。(別に医業広告じゃなくても虚偽広告は禁止されています)

医業広告とは

① 患者の受診等を誘引する意図があること(誘引性)
② 医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療所の名称が特定可
能であること(特定性)
の要件を満たすものですので、グーグルなどの広告代理店に金銭的対価を支払ったかどうかについては全く関係ありません。
一般公開されたホームページについてはすべて医業広告規制の対象となります。

しかし。これ、一体だれが作ったんですかね?
知識のない遺伝カウンセラー?それとも医療系ライター?
そういえば、最近ライターの募集もしているみたいですね。

遺伝の業界では、こうしたヒロクリニックの悪質な行為について、何らかの対応策を取らないといけないと思っています。
それにしても、あの人たち、こんなめちゃくちゃなこと書くのによく、「出生前診断の専門家」って名乗りますよね。びっくりするしかありません。

しかし。巧妙ですよね、これ。バカな医者なら気づきませんよね。ましてや患者さんはもっとわかりませんね。
いろんなものがわかる、って期待してヒロクリニックに行くけど実はわからない、となるとどうでしょうか?

さすが師匠、教授だけあります。(わたくし、仲田洋美は、無認可でNIPTをやっていますが、意外に臨床遺伝の世界では重鎮師匠に大事に育てられたお嬢様専門医です(笑))

みなさんも、是非、こうした虚偽広告にお気を付けください。

それでは。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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