三重大学麻酔科の歴史について、前回、徹底調査しました。
三重大学麻酔科の大量退職手術室出禁パワハラなど黒歴史vs仲田洋美vs札幌医大麻酔科
今回は、わたし、仲田洋美の麻酔科標榜医を取得するための修業時代の思い出深いの症例をご紹介したいと思います。
注意:姫 はわたしのあだ名です。(コードネームともいう)
Case1 ただの帝王切開、しかも自科(産婦人科)麻酔
30代の妊婦さんが帝王切開で手術室にいました。
その病院は、麻酔の問題児病院だったということでしたが、わたしはさっぱり知らずに赴任していました。
部長専門医一人しかいなかったんです。それに対して年間1800件の手術症例があり。
たまたまふらふらと赴任したのが私です。半年間いました。
わたしたちが心外のオンポンプ(人工心肺を使う手術)でまさに人工心肺から患者さんを離脱させるという一番ピリピリして大変なことをしていたとき。
産婦人科から「予定手術のカイザーの血圧が上がらなくて手術室で待機している」と言われました。
今手が離せないので、自分たちも医者なんだからいけるようになるまで見てて、ってT部長が返答しました。
そんなこと言われても今何にもできないよね、とTさんに言われて、そうですよね、と私。
心外の手術患者をICUに搬送して帰ってきたら部長が何やらバタバタしています。
T:仲田、Aラインとれ
姫:は?!
T:いいから取れ。俺は静脈ライン取る。24ゲージなんてかわいいの1本しかないんでもう1本。いっておくが血圧は測定できないので橈骨動脈を探しても無駄だ。勘でやれ。
姫:は? ((((;゚Д゚))))))) わたしに触れもしない動脈ラインを取れと?!
T:いいからさっさとやれ。
そして姫は人生初、触れもしない動脈ラインを勘でとる作業に専念しました。不思議なもので、「はずしたら死ぬ」という状況だとわたし、外したことないんです。血液内科4年目に白血球100未満、血小板0.1万、ヘモグロビン1.8というとんでもない再生不良性貧血患者さんが入院してきて担当医になり、「できるだけのことをしてほしい」と言われて、その人も全然血管がなくて。肘から一発で中心静脈ラインを取りましたが、この時も取った後、腰が抜けました。患者さんはそれから1週間後に亡くなりましたが、その1週間が残される奥さんやお子さんには大事なんです。気持ちの整理をするのに。その患者さんは19才で再生不良性貧血を発症し、治らない病気とわかっていて奥さんは結婚しました。いつか死別する日が来るとわかって結婚した二人はお子さんもできて。死別するまでの日を、二人が過ごしたいように過ごさせてあげたい。私はほとんど、「奇蹟の人」で、こういう大変なライン取りは失敗した経験がありません。が、大変な緊張感ですよ。だって血小板0.1万ですから。突き破ればあっという間にとんでもない血腫ができてはれあがり、どこが血管かわからなくなります。1か所しかないこの辺にある、という血管を外せばあとがありませんから。
話を「触れていない動脈ライン(Aライン)」に戻しましょう。どういう風にやったのかさえ全然夢中で覚えていませんが、取れたんですよ。これが。
そして、血圧を測る機械にナースがつないだらなんと 収縮期血圧30 でした。拡張期血圧は当然測れません。
30ですよ、30。意識なんて当然ありません。
それからのわたしは、患者の循環動態を保つためのポンピング係。
輸液をどんどん押し込んで、院内の輸血をクロスマッチもほとんど省略してどんどん押し込みました。
そうしているうちに、開腹がなされ、なにがなんだかわけがわからないくらいの出血が腹腔内にありました。
いったいどういうことだ???と思いつつ
あまり通常は、やらないのですが、セルセーバーという自己血回収する装置を使うことになりました。
子宮は本来、「無菌」な臓器とはみなしません。膣には細菌が生息していて、つながっているためです。
本来、セルセーバーを使う手術は肺などの無菌な臓器の出血に限られますが、大量に出血していて、輸血も間に合わない状況では仕方がありません。
緊急避難的にフレキシブルに判断できないと患者さんを失うことになります。
結局のところ、輸血、セルセーバーで回収した自己血を戻す、でなんとか血圧は保たれたのですが、あまり高くすると出血するのでギリギリのところでひくめに保ちます。
おちついてきたら、部長とわたしも会話が戻ってきました。
姫:ところでいったいなぜこんなことになったんですか?
部長:さあ。自分たちも医者なんだから俺たちが心外の人工心肺おろし終わって手が離せるようになるまで見てろ、とはいったけど、まさか見てるだけとは思わなかったよ。何やってたの?って言ったら、言われた通り見てましたって言ったので驚いたよ。(笑)
そうこうするうちに、産婦人科医が言いました。
出血点を確認できません。
「はやく旦那さんに子宮を摘出する許可をもらってきてください。麻酔科としてこれ以上責任もてません。」
そうして術者はオペ着を脱いで旦那さんのところに行きました。
麻酔中の患者さんから同意書はいただけませんので。
術者が帰ってきて、同意が取れた、ということでそこからは子宮摘出術になりました。
無事に終了し。
麻酔が覚めた患者さんにわたしは言いました。
姫:ごめんね。子宮取ったよ。出血が止まらなかったから。子宮をとるか、命を取るか、っていったら命でしょ?
もう赤ちゃんは産めないけど。ごめんね、寝てる間にかってにやって。
患者さん:そう?先生ありがとう。生きててよかった。子宮はいいわ。だって3人目なんだもん。
いきなりな患者さんだったので背景が全然わからなくて、1人目だとおもって悲しかった私は、3人目だとわかり救われました。
大野事件ってありましたよね。
わたし、この件で思ったんです。
大野事件はちゃんと麻酔科がいなかったから患者さんが死んだんだって。
そのあとすぐ、大野事件で産婦人科医が逮捕されたので、部長に、どう思う?ってきかれたわたしはこういいました。
麻酔科がいないところで手術するからいけないのよ。
部長にめっちゃ怒られましたけどね(笑)
この患者さんが助かったこと。
どうやって血圧30の橈骨動脈にAラインを取ったのかは必死すぎて覚えていませんが
医者になってよかったな、と今でもこの件を思い出すとしみじみ思います。
全国でクダラナイ勢力争いしているサツイの皆さん。
麻酔科とは何かを考えてください。
わたしはたった2年、麻酔科をしましたが、それでも、麻酔科の大事さもわかっているし
麻酔科の役割もわかっています。
だから。札幌医大集団のような、麻酔の世界を凌辱するヤクザ集団と戦いますよ。
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