医者に殺されない47の心得(近藤誠)⑥世界中で売れているコレステロール薬(以下省略)

これについては,基本的には近藤先生の言っていることは,大きく外れていません.

しかし,心疾患の既往がある場合や,家族性高コレステロール血症の場合は治療対象となります.

やはり,誤解を招く表現は慎んでいただきたいですね.

(とはいっても,現状のスタチンの使われ方に問題があるのですが.)

 

しかし.宝くじ以下の確率って表現はどうなんですかね?

宝くじの確率を述べていただきたいです.

ま.そういう細かいところはおいておきましょう.

2004年8月1日.ワシントンポスト誌面に,Jerome P. Kassirer氏が,製薬業界と高コレステロール治療ガイドラインの作成委員の利益相反について告発しています.

ガイドライン委員9人のうち8人が,高コレステロール血症の治療薬,スタチンのメーカーから研究費をもらっていたり,講演料をもらっていたりしたからです.

2004年のガイドラインでは,悪玉コレステロール(LDL-Cho)の基準値が引き下げられました.

ところが,まったく利益相反COIのない,カナダのブリティッシュ・コロンビア大学の研究者たちは,同じデーターから全く違う結論を導き出したのです.

これをきっかけに,ガイドライン委員に対して,厳しく規制がもうけられるようになりました.(日本はまったくこういう規制はありません)

そして,この後に発表されたスタチンに関するRCT(無作為に割り付けて行う臨床試験です)であるASPEN,ENHANCE,SEAS,GISS-HF,CORONA,AURORAでは,スタチンによりLDL-Cは低下するが,心血管系イベントや総死亡に有意差無しと報告されました.

イギリスの診療指針であるCOCHRANEは,2011年,心疾患の既往を欠く高コレステロール血症にはスタチンの処方は不要としています.
COCHRANE Statins for the primary prevention of cardiovascular disease 2011

 

www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A29456-2004Jul31.html

 

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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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