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これを見て,いろいろと自分の目と耳で確かめたくなり
公判の傍聴に行ってきました.
わたしも医師なので.遺族が,「医師を辞めてもらいたい」とおっしゃっていると記事にあったので.
傍聴して思ったこと.
①検察官にも裁判官にも,「どうしたらこの事故は防げたと思うか」と聞かれているのに
「添付文書を読めばよかった」と言わなかった被告人に対して,違和感を感じました.
確かに,後期研修の2年目,すなわち,医師として3年満了した4月16日だから,まだ4年目になったところです.医師として未熟だったため,指導医がいなかったことは問題でしょう.それは病院の問題です.
しかし.被告人は,一緒にいた研修医の「目」も馬鹿にしたんですよ.
研修医は,確かに医師としては未熟ですが.それでも,日本語は読めるはずです.
そうすると,脊髄に入れてはならない薬だと書いてある,と読んでくれたと思います.
もしも,被告人が研修医の【日本語を読解する能力】を信頼していたら,この事故は防げたと思います.それを,弁護人の方針なのか,添付文書を読むべきであったといえない被告人には,とても違和感を覚えました.これが弁護人の方針ならば,大変疑問です.
弁護士は,梶 英一郎さんのようでした.
もうお一方いらっしゃいましたが.名乗っていたのは,梶弁護士でした.
②検察官とのやり取りで,当日,脊髄造影(ミエログラフィー)をするのはもう一人いた.1例目のこの症例の急変があと数分遅かったら,事故は2件起きていたわけです.ぞっとしました.
③薬剤を投与するのに,別に造影剤でなくても一度も添付文書を見たことがないとのこと.
一体どういうことでしょうか?治療薬マニュアルなどの本には,省略されて要点しか書かれていないため,添付文書や,インタビューフォームで確認するのは,医師の責務.
それを一度もやったことがない,出されたものを使うのが当たり前,と言って
病院の体制のせいにする,というのは,裁判所の心証形成にも悪い影響しか与えないように思いました.
確かに,病院の責任は免れません.
管理責任が問われますので.
しかし.個々の医師の免許は,自分自身で守らねばなりません.そのためには,添付文書読むといった最低限のことは自分でやらないといけません.
その姿勢を,初期研修の段階で誰からも学ばなかったのであるとしたら,一体どこでどういう研修を受けたのか.それを知りたいですね.わたしは.
教えてくれるのが当たり前な今の研修システムの欠陥かもしれません.
いずれにせよ,事故が起こると,みんな不幸です.
だから,発生を減らさねばなりません.
しかし.わたしは,国際医療研究センターは,これを隠蔽せず認めているという点で
すばらしいと思います.
わたし個人の意見としては,仕事のミスは仕事で取り返すしかありませんから,たとえ
亡くなった患者さんが生き返ることはなくても,フロントラインにたち続けることで
贖罪していただきたいと願っています.あくまでも個人の意見ですが.
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造影剤の誤投与事故、「間違いない」と担当医
国際医療研究センター「ウログラフイン」事故、初公判レポート 2015年5月8日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)国立国際医療研究センター病院(東京都新宿区)で2014年4月16日に起きた造影剤の誤投与事故で、業務上過失致死罪に問われた整形外科医の初公判が5月8日、東京地裁(大野勝則裁判長)で開かれ、医師は「間違いありません」と罪を認めた。
同事故は、腰部脊柱管狭窄症の再発疑いの78 歳女性に対し、脊髄造影検査を実施する際、脊髄造影用造影剤イソビストを使用すべきところを、誤ってウログラフイン60%注射液(以下、ウログラフイン)を使った事故。検査は午後2時頃から開始、午後3時40分頃に終了。午後4時30分頃から容体が急速に悪化し、救命措置を行ったものの、同日午後8時3分頃、急性呼吸不全により死亡した。
ウログラフインは、脳・脊髄腔内に投与すると、重篤な副作用が起きることから、脊髄造影検査には禁忌だ。「使用する造影剤を選定するに当たり、造影剤の添付文書等でその薬理作用を確認するなどして、造影剤の誤用による生命身体に対する危険を未然に防止すべき業務上の注意義務があるのに、それを怠った」というのが、検察の起訴理由だ。
検察の冒頭陳述や、整形外科医の供述調書などによると、今回の脊髄造影検査は、卒後5年目の整形外科医が行い、2014年4月から研修を始めたばかりの卒後1年目の研修医2人が付き、計3人体制だった。検査室の薬品棚には、イソビストが手前に、ウログラフインがその後方に置いてあったが、約1カ月前に立ち会った股関節造影検査の際に、ウログラフインを使ったことから、整形外科医は同剤を選んだという。アンプルを切ったのは研修医。整形外科医は、「指導医の立ち会いの下、脊髄造影検査を問題なくこなしていたことから、技術的は十分だと自信があった」「検査部位によって、使用する造影剤が異なることを知らなかった」などと供述している。一方で、国立国際医療研究センター病院では、レジデント(後期研修医)に対して、造影剤などに関する系統だった指導教育は行っていなかったとされ、同病院の研修や薬品管理の体制にも問題があったことが伺える。
次回の公判では、情状の事実を立証するため、その弁護側による指導医への尋問などが行われる予定。医療事故そのものの事実関係に争いはないことから、早ければ次回か次々回で結審の見通し。
センターは事故当日に警察に報告患者は、国立国際医療研究センター病院において、2013年8月に腰部脊柱管狭窄症の治療のため椎弓切除術を受けていた。その手術を担当したのが、この整形外科医だった。その後、定期的に外来を受診していたが、再び痛みが出たため、神経根ブロックと脊髄造影検査を受けるために2014年4月に入院。主治医は整形外科医の指導医で、整形外科医は検査を担当し、誤投与事故が起きた。
国立国際医療研究センター病院は、4月16日の事故当日に、地元の牛込警察署に届け出ていた。同センターは、4月18日には厚生労働省で記者会見して事故を公表、その後、外部委員を含めた医療事故調査委員会を立ち上げ、8月に再発防止策を公表している。並行して警察の捜査も進み、整形外科医は12月3日に書類送検、今年3月9日に在宅起訴されていた。
5月8日の初公判は、午後1時30分開廷、検察が起訴状を読み上げ、冒頭陳述をした後、証拠の説明を行い、30分程度で終了した。検察の冒頭陳述で明らかになった事故当日の経過は以下の通り。
【造影剤誤投与事故の4月16日の経過】
- 午後2時頃 78歳女性への脊髄造影検査開始
- 午後3時40分頃 検査終了
- 午後4時30分頃 容体が急変、救命処置を実施
- 午後8時3分頃 患者が急性呼吸不全で死亡
- 午後10時20分頃 牛込警察著の警察官に「医療過誤が発生して、患者が死亡」した旨を報告
死因はウログラフイン投与による急性呼吸不全証拠として検察側が提出したのは、鑑定書、2人の脳神経外科医の供述調書のほか、脊髄造影検査にかかわった2人の研修医や指導医の供述調書などだ。
本件では、整形外科医が、脊髄造影検査には禁忌であるウログラフインを投与した事実には争いがない。鑑定書は、既往症は死亡に影響を与えておらず、「死因は、ウログラフインが、脊髄くも膜下に投与されたことによる急性呼吸不全」と認定した。
脳神経外科医のうち、1人の調書は、脳脊髄液へのウログラフインの混入により浸透圧が変化した結果、神経細胞が障害され、急性呼吸不全が起きて死亡する可能性があるという内容。もう1人の調書は、ウログラフインの神経毒性の直接作用によって、呼吸中枢神経が障害され、死に至ることがあるとの内容だ。
「造影剤の指導は行っていなかった」研修医は2人とも、2014年3月の医師国家試験に合格し、国立国際医療研究センター病院で研修を始めたばかりの医師。供述調書によると、1人は整形外科医から検査の手伝いを求められたことなどを、もう1人は造影剤のアンプルを開けて整形外科医に手渡したことなどを、それぞれ述べている。
指導医の供述調書によると、指導医とレジデント(後期研修医)は、マンツーマンで指導を行っていた。脊髄造影検査は、医師、看護師、診療放射線技師の3人体制で行い、誤投与対策は、(1)看護師が薬剤のラベルを確認、(2)看護師が医師に薬剤のラベルを見せて確認――というダブルチェックをするやり方があるが、国立国際医療研究センター病院では、この体制にはなく、研修医を補助に入れるなどして検査を行っていた。この整形外科医が、国立国際医療研究センター病院での勤務を始めたのは卒後4年目から。指導医は、「既に学んでいるものとして、レジデントに対し、造影剤などの薬剤についての系統だった指導や教育は行っていなかった」としている。
「病院には憤りを覚える」と遺族初公判では、死亡した女性の夫の意見書の一部も読み上げられた。「整形外科医による造影剤の誤投与が原因で死亡したことなどの説明を受けた」「しっかりと反省するとともに、医師という仕事を辞めてもらいたいと思う」「病院に対しては、憤りを覚えるが、今回の医療ミスを教訓として、二度と同じような事故を起こさないよう、指導管理を徹底してもらいたい」などの内容だった。
尚,この記事におきまして,弁護士のお名前を間違えてお伝えしておりましたことを,お詫び申し上げます.
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