雑感:医療安全;死亡率8%超2病院、「高難度」認定更新認めず

群馬大学医学部付属病院,千葉県立がんセンターの2病院(とはかかれていないが,今までの経緯から判る)を
日本肝胆膵外科学会が,肝胆膵分野の高度な手術を担う病院としての認定更新を認めなかった,というニュースが
流れてきました.

しかし...

2病院は死亡率が8%を超え、死亡例の診療内容にも問題がありましたよね.確か.

①まずは隠蔽したが,あまりに死亡が多く隠ぺいできなかった群馬大学医学部付属病院
②麻酔科医師からの厚生労働省への内部告発で明るみにでるきっかけとなったのであるが,
当該麻酔科医師を辞職に追い込んで訴訟になった千葉県立がんセンター

まるで,学会の自浄作用であるかのように流れてきたニュースに,違和感を覚えます
それよりなにより,学会としては,統計を取って,平均は出せるわけなので,
それよりも明らかに高い水準の死亡例が出ている病院は

この際認定を外す,というなら判ります.

このような,外部から問題が発覚してどうしようもなくなった病院だけを認定除外しても,国民のみなさまの
不安は解消されないのではないでしょうか?

ちなみに,特定機能病院(基本的には大学病院です)には,医療事故死亡例は医療法で,
重大な医療事故について報告義務がありますから

群馬は隠しきれなかったのです.

しかし.このような報告義務を法的に負っているのは,特定機能病院のみです.

それ以外の病院では,医療過誤について今でもなかなか開示されないのが一般的ではないでしょうか?

わたしも,恐ろしい隠蔽を何度も見たことがあります....
医療人として情けなかったですが....

大学病院だから,大きな病院だから,といって安心安全ではありませんよね.

 

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死亡率8%超2病院、「高難度」認定更新認めず

 2015年11月28日 (土)配信読売新聞
 

 日本肝胆膵(かんたんすい)外科学会が、開腹も含めた肝臓と膵臓の高難度手術で死亡率が8%を超える2病院に対し、肝胆膵分野の高度な手術を担う病院としての認定更新を認めなかったことがわかった。

 この2病院ほどではないものの、死亡率が5%を超えた病院も6病院あり、今後、指導を検討する。うち2病院は、腹腔鏡手術の死亡率が4%以上と高率の5病院にも含まれていた。 同学会の認定病院は毎年度、開腹か腹腔鏡かといった手術方法を問わず高難度手術の成績を学会に報告しているが、群馬大の問題を受け、同学会は、改めて12~14年度の各病院の報告を調査していた。その結果、2病院は死亡率が8%を超え、死亡例の診療内容にも問題があった。

 群馬大での開腹及び腹腔鏡による手術の死亡率は10%を超えていた。問題を受け、群馬大と、同様の問題が起きた千葉県がんセンターは認定が取り消されている。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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