ひどい
と言う言葉に対してまず反論しておきます.
酷い,という言葉は主観的な言葉です.
なにがどの線を越えていたら酷いのか,について,一人一人が異なるので,こうした言葉をなるだけ使わないで表現するようにしないと,混乱を招きます.
先生,Aさんがとにかくひどいんです,早く来てください.
なんて呼ばれることありますが.ひどい,ではなくその中身を説明してください,と言って,説明してもらっています.
酷い,なんて主観的な言葉に,いきなり共感できませんから.
副作用がひどいって,どういう意味でしょうか?
薬剤の有害事象は,表現の仕方が決まっておりまして...酷いと言う表現はありませんので
わたしにはさっぱり理解できません.
日本糖尿病学会が根拠もなく,米国やWHOに追随して,糖尿病診断基準の空腹時血糖値を140から126に下げた に対する反論
これは,根拠もなく追随した,というのであれば,WHOの診断基準変更にたいして
近藤先生が「科学的根拠」をもって反論して,変えていただく方が先決でしょう.
何にでも,基準というものがあります.
基準にはそれなりに理由があります.
自分勝手に基準を変えて,「がんもどき」を作り上げたノリで,糖尿病の診断基準にも物申す,ということでしょうか?
近藤先生のこうした発言が,世の中の混乱を招く一因となっています.
近藤先生も,ご自分を科学者であると言うならば,科学的根拠を出すべきです.
そもそも,参照した文献をきちんと書いてから述べてほしいです.
薬を飲まずに歩け! に対する反論
2型糖尿病に対する血糖強化療法(HbA1cを7.0未満に保つ)は,有益ではないと言うことが判ってきました.
しかし.このような書き方をしたら,治療を拒否する患者さんたちが出るでしょう.
そういう患者さんたちの中から,糖尿病性ケトアシドーシスなどの重症で命に関わる状況に
陥る人たちが出ないとも限りません.
そもそも,近藤先生は,放射線科医師を長年やってこられたわけであり
内科領域のこうした疾患については,治療した経験などないに等しいのではないでしょうか?
論文だけ読んで,センセーショナルな表現をして,混乱を招くのは
生命を預かる医師にふさわしくない所業であると私は考えます.
癌の領域なら,近藤先生は放射線治療にかかわってきたわけですから,まだ,臨床経験があり
意見を尊重できる場面もあるのですが.
純粋に内科的なこういう疾患に対して,臨床経験もなく,何の研修も受けず,評論家のように
数字だけを出して誤解させる,というやり方は,やめていただきたく存じます.
そもそも,近藤先生は,著書によれば,アメリカの医療について精通しておられるはずです.
そうすると,自由標榜制をとっている国が,先進国に日本が入るのであれば
先進国の中で日本だけであると言うことをご存じなはずです.
先進諸外国では,専門医を取らないと標榜できません.
ですから,放射線科医が,何の研修も受けず専門的スキルを有していると認定された専門医にもならずに,内科の疾患に対する診断基準や治療に関して,素人でありながら口を出す,ということが
どれだけ非常識なことであるのか,ご自分が最もよくお分かりのはずです.
かなり論理破綻しておられますね.この行動は.
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以下,2型糖尿病に対する血糖強化療法による全死亡,心血管死,細小血管イベント抑制を検討したメタアナリシスです.
メタアナリシスというのは,RCT(ランダム化比較試験:無作為に割り付けて行う比較試験のことをいいます.)を複数まとめて分析したもので,エビデンスレベルとしては最も高いものです(エビデンスレベル1a)
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21791495?dopt=Abstract
【 目的 】
糖尿病患者におけるHbA1c≦-7%を目標とした強化血糖降下療法の有用性については,議論のあるところです.
ACCORD試験(臨床試験の名前です): 強化治療群で死亡率増加
UKPDS 33,ADVANCE: 強化治療群で細小血管合併症が有意に減少
VADT: 標準治療群との有意差なし
いずれにおいても強化治療の心血管イベント抑制効果は認められませんでした.
強化療法の有効性を検証するため,いくつかのメタアナリシスが実施されたが,いずれも心筋梗塞(MI)などの大血管障害に焦点がありました.
今回,細小血管合併症も考慮に入れ,2型糖尿病患者における強化血糖降下療法の有効性を評価するメタアナリシスが実施されました.
一次エンドポイント(臨床試験における目的とする評価項目)は全死亡,心血管死.
【 対象 】
13試験*・34,533例
18歳以上の2型糖尿病患者を対象に,強化血糖降下療法の全死亡,心血管死,細小血管合併症に対する効果を標準治療,非強化血糖降下療法またはプラセボと比較したランダム化比較試験.
* 二重盲検5試験(UGDP phenformin,UGDP tolbutamide,PROactive,Dargie et al,HOME),オープンラベル8試験(UGDP insulin,Kumamoto study,Veterans Affairs Feasibility Study 1997,UKPDS 33,UKPDS 34,ACCORD,ADVANCE,VADT)。
患者背景:
平均年齢62歳
男性60%
HbA1c 7.9%
BMI 31kg/m2
心血管イベント既往39%
平均糖尿病罹病期間7.8年。
【 結果 】
平均追跡期間5.0年
強化血糖降下療法群18,315例,標準治療群16,218例。
いろいろ数字を書くと皆様嫌になるとおもい,割愛します.
興味のある方は論文をご覧ください.
強化血糖降下療法の全死亡,心血管死抑制効果は認められず.
わずかに示された非致死的心筋梗塞,微量アルブミン尿抑制効果も重症低血糖の増加により相殺される.
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このような,メタアナリシスが積み重なった結果,米国老年医学界では,Choosing Wiselyにこのような勧告をしています.
65歳以上の高齢者のHbA1c(NGSP)を7.5%未満に厳格にコントロールすることは避ける.
高齢2型糖尿病患者に対する厳格な血糖コントロールの有益性については根拠に乏しい.
HbA1cの治療目標値は
健康で生命予後が長期の高齢患者:7.0~7.5%
合併症があり生命予後が10年以内の高齢患者:7.5~8.0%
多数合併症を持ち生命予後が短期間の高齢患者:8.0~9.0%
とすることが推奨される.
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1つ,スタディを追加しておきます.
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20110121
イギリスで,50歳以上,平均罹病期間4.5年の約48000人の1996年から2008年のデーターを解析した研究結果です.
経口剤単独27965人,インスリン治療20005人.
全死亡率のhazard ratio (HR) は,経口剤単独インスリン治療ともにHbA1C7.5%を底とするU字カーブを描くことがわかりました.要するに,最も死亡率の低いHbA1cは7.5%
A:経口血糖降下薬使用患者,B:インスリン使用患者です
両群を合わせると,HbA1C6.4%群はHbA1C7.5%に比べHR1.52となります.
この図から判ることとして, metforminとSU剤の経口血糖降下薬による治療ではHbA1c 7.0~9.0%の間でほとんどHRは変わらないのですが,
insulin群では,HRが低いのは7.5~8.0%の大変狭い範囲に限られる,ということです.
この研究の結果からは,経口血糖降下薬で治療を行う場合にはHbA1c 7.0~9.0%に,insulin治療を行う場合にはHbA1c 7.5~8.0%にコントロールすべき
ということになります.
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