「延命か、死か」難病の子供に決めさせるのは正しいのか?

こういう問題が発信されると,どうして,正しい,正しくない,ということで論じられてしまうのかについて
疑問に思います.

たしかに,4歳のお子さんが死を正しく理解して決定できるかというと,疑問が残るかもしれません.

しかし.医療職が家族の決定を疑問に感じ調整しないといけない場面というのは,限られていると私は思っています.

それは,【 家族と本人の利益が相反している場合 】です.

このケースに当てはめて考えると

お子さんの尊厳死を決定し,親御さんが看護する苦痛から逃れようとしている,という可能性が否定できない,ということなのでしょうか.

でも.難病を抱えて,どのように生きたいか,親としては,本当は長く生きてほしいと言う気持ちもあると思います.

合併症がおこったとき,治療せずに,娘が冷たくなっていくのを見守る,という選択は,そう簡単にできることではないと思います.

アメリカという国は,自己決定権を大切にする国です.

それでも,こういう議論になるのだな,と改めて思いました.

 

 

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www.huffingtonpost.jp/2015/10/29/heaven-or-hospital_n_8414686.html?ncid

子供が死を目前にした時、「天国に行くか、病院で治療を続けるか」を自分で決めさせるのは正しいことだろうか?

ある家族は、5歳の娘に人生最後の選択をさせることにした。その決定が議論に呼んでいる。

アメリカ・オレゴン州ポートランドに住むジュリアナ・スノーちゃんは、生まれつきシャルコー・マリー・トゥース病 (CMT) という不治の神経変性疾患を患っている。動くことも食べることもできず、呼吸マスクを常に着けていなければいけないジュリアナちゃんは、自宅から一歩も出られない。

ジュリアナちゃんを担当する医師たちによれば、CMTは危機的な段階まで進行しており、軽い風邪でも命にかかわる状態だ。

呼吸器科医、ダニー・シャー博士は「トンネルの先に光は見えません。彼女の寿命はそれほど長くないでしょう」とCNNに述べている。

入院中のジュリアナちん

ジュリアナちゃんが難病に苦しむ様子を目の当たりにし、死を避けられないと知った両親は「次に娘の容体が悪くなったら、どうすれば良いだろう?」と考えざるを得なかった。 病院に連れて行けば、少しは助かる可能性があるかもしれない。しかし自宅で家族と共に残りの時間を過ごすという選択肢もある。しかし後者を選んだ場合、ジュリアナちゃんはおそらく生き延びることはできない。

母親のミシェル・ムーンは、2015年初めにウェブサイト「マイティ」に掲載したブログの中で、それを幼い娘に自分で決めてもらうことにした、と書いている。

「ジュリアナは病院に戻りたくない、とはっきり私たちに伝えました」「生死に関わる病気に苦しむ子供たちがそうであるように、娘は実際の年齢よりも賢い子供です…。もし今度容体が悪くなったら、ジュリアナは大きな治療をしない限り生きることはできないでしょう」

そして、当時4歳だったジュリアナちゃんと交わした会話を記している。

母:病院には行きたくないのね? ジュリアナ。

ジュリアナ:NT (naso-tracheal suction:鼻からチューブを通す気管吸引。ジュリアナが最も嫌いな治療)が嫌なの。

母:わかってる。もしまた病気になった時は、お家にいたいのね?

ジュリアナ:NTは絶対にイヤ。病院も嫌い。

母:わかった。病気になっても、あなたはお家にいたいのね。だけど、それだとおそらく天国に行くことになるってわかってる?

ジュリアナ:(頷く)

母:あなたは独りで天国に行くのよ。ママは後から行く。

ジュリアナ:でも、私は独りじゃない。

母:そうね。あなたは独りじゃない。

ミシェルはジュリアナに「天国では歩いたり飛んだり遊んだりできる。それに機械なしで呼吸できるし、食べ物だって本物だよと教えました」と6月にブログで書いている。

「出来る限りの手を尽くして延命するのではなく、与えられた時間を最高に素晴らしい人生を遅らせてあげるのが愛になることもある、と信じています」「病院に戻って痛みを味わうよりも、自宅で家族と共に時間を過ごす方がずっと価値がある、と娘ははっきりと私に伝えました」と、ミシェルは述べている。

ブログを発表した後、家族の決断には称賛の声も激しい批判の声も寄せられた。また、医療倫理に関わる人たちの意見も別れる。

「いい決断だとは思いません。本当にこれでいいのでしょうか」と、ニューヨーク大学ランゴーンメディカルセンターの医療倫理部長アート・キャプラン博士はCNNに話している。「4歳の子供は、どの音楽を聞きたいか、どの絵本を読みたいかを決めることができると思います。しかし、死とは何かを理解してはいないでしょう。死の概念が理解できるようになるのは、9歳から10歳頃です」

一方で、著名な生体倫理学者でフィラデルフィア小児病院の医師クリス・フォイトナー博士の意見は異なる。

「ジュリアナの決断が十分な認識に基づいたものではない、という意見には賛成できません。単に進行性の神経筋障害を患う女の子として生きるのではなく、自分らしく生きるのがどういうことか、ジュリアナは誰よりも良く知っています」と、フォイトナー博士は述べる。

ジュリアナの主治医や看護婦たちも、家族の選択を支持するとCNNに話している。

「鼻の中にチューブを挿入する時、幼い子供たちは押えつけられ悲鳴を上げます。それでもその子が助かる見込みがあればいいのですが、ジュリアナの場合、助かる見込みはないのです」と、集中治療の看護師であるダイアナ・スコラロは述べる。

4歳の子供は、選択肢2: 自宅で亡くなること、つまり「病院よりも天国」を選んだ。@ICPCN 両親への決断に敬意を払おう

ミシェルは「それでもこの先どうなるのかとても恐ろしい」と述べ、子供を失うという恐怖に怯えている。それでも、その時が来たとき、娘が一番いい決断をすると信じている。

「私たちは、何度も話し合ってきましたし、大抵はジュリアナの方から話をしてきました」と、ムーンは6月のブログに書いている。「娘は死を恐れていましたが、死について理解していることを私に伝えてくれました。ジュリアナは『人間は死んだら、何もしないし何も考えない』と言っています。病院に戻らないという娘の気持ちは変わっていません。それが独りで天国に行くことだとわかっています。でも、容体が悪化したら私たちはもう一度彼女に同じ質問をするつもりです。そして、彼女の意志を尊重します」

 

 

 

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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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