【誠実な対応】患者死亡で2千万円賠償へ 岐阜市民病院

みなさま,こんにちは.

岐阜市民病院のこの対応,素敵ですね.

みんなこうして過失を認めて頭下げたら,医療裁判は減りますね.

無駄な争いが減っていいことだと思います.

今,わたしは医療裁判の意見書を書いていますが.
にゃーんと,17歳の大腸がんを,虫垂炎だとおもって造影CTとっておいて
見落として(外科),半年後もCRP陰性,白血球正常,無熱で右下腹部痛だからとやっぱり造影CTとても虫垂炎だと思い込んで見落として(内科,放射線科,外科)
なおかつ虫垂切除術やって,3日後に腸閉塞起こして大々的に開腹して初めて上行結腸癌に気づいたよ (◎_◎;)
というお粗末症例です.

しかも~~~.面白いことに,被告弁護士たちが,見落としは認めるが過失ではない,と言ってるんですよね~.

おいおいおい?見落としは過失だろ???

結果との間の因果関係を争うならわかるぜ???

という大変面白い裁判です.

被告は,最近,産科案件で高裁逆転敗訴した医療機関です.
ここの弁護士たち,ほんと,賢くないんだよね.

ステレオタイプに,「言いがかりだ.こんなことで敗訴すると医療崩壊する.」って主張してるのね.
わたしが協力医として手がけている裁判でもそういっていますが,最近,東京高裁に
産科案件を閲覧にいったら,あっちにも同じこと書いてあったよ~~(*///∇///*)

裁判の準備書面で,バカにバカって言われて腹立つけど,よく読むと論理もなくて笑えるというのがこの裁判です.面白杉っす.

まだ公開の法廷の段階ではありませんが.
公開になったら一見の価値あり!!

おそらく日本で初めて,当該分野の専門医が,医療記録を分析して
訴状を作る段階から弁護士に指南している医療裁判では?

これからの医療裁判は,科学的根拠に基づいた医療裁判にしていかねばなりません.

裁判例を積み重ねて,それを医療にフィードバックしていく.

ちなみに,わたしの意見書の一部です.

以上,現在までの臨床試験の論文をもとに軽症虫垂炎の治療方針に議論があるところであるということを述べたが,当該症例は,単純な虫垂炎ではなく,上行結腸癌に付随して虫垂に二次的に炎症が波及したものであるから,虫垂炎はあったのだからそれを手術して何が悪い,という論法は,「テポドンは確かに発射したが,日本をちゃんと超えて領海外の太平洋に落ちたので問題ない」に似たものを感じる.

そもそも,以上のような「議論のあるところ」というのは,虫垂炎で臨床試験を行った場合,ということであって,当該症例のように虫垂炎そのものが合併症の場合は,一次的な病因についてアプローチするのが当然である.しかし,被告らはその一次病変を見逃して,アプローチすべき部位と疾患を間違えて手術したのであって,この手術そのものが不要である.赤信号を見落として信号無視で捕まって,見落としたといっても通じないのと同じレベルの話である.

少なくとも,CRP軽度上昇,白血球数正常,体温37.4度と典型的な虫垂炎の所見ではない中,「緊急」虫垂切除をするのではなく,真摯にほかの原因がないかを検討する時間と慎重さを持つべきであったという非難は免れない.

 

 

 

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患者死亡で2千万円賠償へ 岐阜市民病院

  • 記事:共同通信社
  • 提供:共同通信社

    岐阜市民病院(岐阜市)で昨年12月、脳症の治療中、血糖値の確認を忘れたため糖尿病の合併症で患者が死亡する医療事故があり、岐阜市は30日、同市の70代女性の遺族に約2千万円の損害賠償を支払い、示談にする方針を発表した。

 同病院によると、女性が受けていた治療法は血糖値上昇などの副作用がある。女性は糖尿病を患っていたため、血糖値を毎日、確認する必要があったが、治療開始前の1度しか計測していなかった。主治医は病院側の聞き取りに「失念していた」と話したという。

冨田栄一(とみた・えいいち)院長は「適切な処置を取っていれば防ぐことができた。再発防止に努める」と述べた。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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