【歌舞伎町の女王】仲田洋美vs【偽善の帝王】上昌広⑫-1【専門医制度】「出産への配慮なく研修継続できず」女性が徳洲会を提訴

上先生の案件ではないのですが,上先生が専門医制度について反対する内容を発信していて
11月に行われた彼の学術集会でも,森田さんという女医さんが「どうして専門医を取らないといけないのか,わたしにわかるように説明してください.」なんて言ってたので.
ここに入れさせていただきます.わたしのこの記事に関する感想は,大変否定的です.
まずは記事を引用いたします.

「出産への配慮なく研修継続できず」女性が徳洲会を提訴

17/01/18 朝日新聞

 

 出産への配慮がなく、研修医を続けられなかったとして、医師免許を持つ大阪府内の女性(31)が医療法人徳洲会と研修担当の医師2人に計3777万円の賠償を求め、大阪地裁に提訴した。18日に第1回口頭弁論があり、法人側は請求棄却を求めた。

訴状によると、女性は関西にある徳洲会系列の病院で2014年4月から2年間の予定で初期研修に入った。その後、15年5月の第2子出産の前後に約3カ月休業し、2カ月遅れの16年5月末に研修を終えた。

その後、専門医の資格取得のため、後期研修を希望したが、徳洲会側から特段の説明なく受け入れを拒まれたという。女性は8月から兵庫県内の大学病院で後期研修を始めたが、勤務地が遠くなって長続きせず、10月に退職した。現在は別の病院職員としてアルバイトをしながら、研修医として受け入れてくれる病院を探している。

訴状で女性は、出産を控えた15年3月、徳洲会側から予定通り2年間で研修を終えられるよう柔軟な対応をとるという説明を受けていたと主張。初期研修の遅れに伴い、専門医の資格取得の時期が大幅に遅れるため抗議すると、研修担当の医師から「子どもを持ちながら研修するのは努力にあたらない。不利ではある」と言われた、とも訴えている。

徳洲会側は答弁書で、後期研修への移行は義務ではなく、打ち切りは正当な行為と反論。さらに「厚生労働省承認のプログラムを個人の事情で変えることはありえない」とし、担当医の発言も否定している。(阿部峻介)

まず,臨床研修制度は法律で決まったものですから,どれくらい休んだらだめとか決まっています.
www.mhlw.go.jp/shingi/2005/06/s0608-12.html

 

5-1 研修実施期間の評価
研修医は、2年間の研修期間について、以下に定める休止期間の上限を減じた日数以上の研修を実施しなければ修了と認められるべきではない。
(1)休止の理由
研修休止の理由として認めるものは、傷病、妊娠、出産、育児、その他正当な理由(研修プログラムで定められた年次休暇を含む)とするべきである。
(2)必要履修期間等についての基準
研修期間(2年間)を通じた休止期間の上限は90日(研修機関(施設)において定める休日は含めない)とするべきである。
各研修分野に求められている必要履修期間を満たしていない場合は、選択科目の期間を利用する等により、あらかじめ定められた臨床研修期間内に各研修分野の必要履修期間を満たすよう努めるべきである。
(3)休止期間の上限を超える場合の取扱い
研修期間終了時に当該研修医の研修の休止期間が90日を超える場合には未修了とするべきである。この場合、原則として引き続き同一の研修プログラムで研修を行い、90日を超えた日数分以上の日数の研修を行うことが必要である。
また、基本研修科目又は必修科目で必要履修期間を満たしていない場合にも、未修了として取扱い、原則として引き続き同一の研修プログラムで当該研修医の研修を行い、不足する期間以上の期間の研修を行うことが必要である。
(4)その他
プログラム責任者は、研修休止の理由の正当性を判定し、履修期間の把握を行うべきである。研修医が修了基準を満たさなくなる恐れがある場合には、事前に研修管理委員会に報告・相談するなどして、対策を講じ、当該研修医があらかじめ定められた臨床研修期間内に研修を修了できるように努めるべきである。

要するに,この研修医は自分の都合で妊娠出産して,90日以上休んでしまったので,研修休止に該当した.
病院側は,原則に従って不足分の研修を行った.

そして,病院は2か月研修をさせて終了させた.
病院というのは予算がたいてい決まっている.
その年に雇用する後期研修医の数などは定数があるため,みんなと同じ時期に終了できなければ
希望する科に入りたいと思っても人気がある科は充足しているかもしれない.
人生,いろんなリスクがある.
わたしはH7卒だが,わたしのときも研修期間中の結婚,妊娠,出産は大変だった.
特に私たちは院内保育所もない時代だったので.
大体,女医の場合,卒業と同時に結婚するか,研修医を終えるときに結婚するか(わたしたちのころは研修制度はなかったけど,2年間は研修医と扱われた),ずっと結婚できないか,みたいなパターンでしたね.

私の場合は,学生結婚して,子供抱えて臨床実習したりしました.
臨床実習を7時からやる科もあって,託児所が8時からなので間に合わない,といって遅刻したら
単位を出さないとごねた科が第一外科(緒方教授.緒方洪庵のひ孫らしいです)と眼科(上野教授).
教授会が紛糾して大騒ぎ.
このとき,文科省は「臨床実習は大学の規則どおりの時間内に行うこと」というお触れを出したそうです.
大騒ぎになっているとは知らず,ある日,教育担当副学長の瀬戸先生に呼び出されました.
瀬戸先生からは,教授会で紛糾していたこと,文科省が通知を出したこと,
気が向くなら夏休みに一人でポリクリを当該科に関してしないかという提案をされました.

わたしはこう言いました.

嫌です.朝託児所があくまで連れていけないので朝早くはこれませんでしたが,夜は母に協力してもらって
夜中の実習も参加しています.
できることを一生懸命やっているのに気に入らないからと一方的に単位を出さないというのは納得いかない.
女性蔑視にもほどがある.
わたしは,学生の間だけでも子供と過ごしたいと思い,家事,勉強を一生懸命両立させています.
不十分なのは認めます.
しかし,医師になって,他人に生命を預けてもらって,そういう働き方はしないつもりです.
卒業後のわたしを見ててください.

 

瀬戸先生はそれ以上何も言いませんでした.

そもそもわたしは学生で,授業に出ないと単位はもらえないし,産休という制度も関係ありませんから
産後4週間で授業に出ました.
切迫早産もありましたので,長く休んでしまったのですが,ちょうど学年が変わるときだったのでなんとかなったし,その期間にあった実習に関しては夏休みに一人でしました.

頑張りましたよ.

大体この人は,後期研修を受け入れてくれた病院を,遠いからと勝手にやめてしまって
元の病院に採用すべきだったとか訴えてるんでしょ?
おかしくないですか???

人生の中でどういうリスクをとるかは自分の問題です.
この時期に妊娠したら後期研修に差しさわりがあって,訴訟を起こさないといけないくらいのことなのであれば
まずは妊娠をコントロールしたらよかったのでは??
少子化で妊娠出産しやすい環境を提供するのは国の重要課題となっていますが,それでもこの時期に出産するのは権利ではありません.
大体権利(出産のため休む)を主張するのであれば義務を果たさねばならないんです.
それはこの研修医にとって,2か月延長して研修するということなのです.

わたしは,2回目の出産は医師歴3年目に出産しました.第1子から5年あいています.
それに,わたしが総合内科専門医を取得したのは10年目です.
それがなにか?

別に専門医もってないと働けないというわけでもないし
専門医取るのが1年2年遅くなったからと言ってなんのハンディキャップもありません.
わたしなんて医師歴14年目に突然できたがんプロ大学院に入り
十分なキャリアがあったことで,3年目に大学院卒業後の取得目標である専門医,がん薬物療法専門医となり,認定している臨床腫瘍学会の学術集会の会長シンポジウムの招待演者になったことなどから
この新規国家プロジェクトのシンボル専門医となってしまいました.
人生なにがあるかわかりません.

人生いい時も悪いときもある.
逆境もたくさんあります.
大事なのは挽回する力.
挽回するのにこの方法が最善なのであればそうすればいいですが,わたしにはそうと思えません.

わたしも,8年目に臨床試験不正を告発して母校を首になったりしていますが
そういう逆境をじーっと耐えて,それでも大事なことは何かと見失わずにコツコツ努力して
専門医をとり,頑張っていたら認めていただける人たちには認めていただけますよ.

わたしのこのページのトップに一緒に写っているお方は,まさにうちの業界のドンではないでしょうか?

こつこつ一生懸命やっていたら
たとえ数年専門医取得するのが遅れても,なにも問題ありません.
それよりも,こんな訴訟をするほうが,あなたの人生のハンディキャップになると思います.
最近では,弁護士が増えすぎて,仕事にあぶれているのか,無茶な訴訟をして
依頼人の利益を重視しているのか大変疑問なケースが多発しています.

よく考えてください.
臨床研修は法定な制度です.
そのとおりに行う必要がある.
そのことも理解できず,間で出産したからという自分の事情で不利益を被ったという主張をする医師を
信頼して命を預けられますか?
制度に従わないということは,赤信号を無視する,赤信号で止まらないといけないという制度が悪い,というのと同じ態度ですよ?

このブログの記事をあなたが見ることがあるならば
わたしに連絡をしてください.
相談に乗りますよ.

ちなみに,上先生のおこなった学術集会で森田さんがいってたことや
上先生の発言に反論すべく,今,テープ起こしを依頼していますので
少々お待ちあれ.

 

 

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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