【意見】宮崎謙介衆議院議員の育児休暇取得がなぜ問題なのか?

 いろんな意見があるのでしょうが.わたしはこう考えます.

国政が,一人または少人数の合議で行うものであるならば,
宮崎代議士が1人欠けることで審議できる法案の精度が落ちたり
委員会などで採決するまでの議論が十分なされなかったりするなどして,
審議できる法案の数が減る,出来てくる法律の質が落ちる
といった影響があるのかもしれません.

しかし.現在,政党政治が我が国の国会の実情であり,
最終的に,1人が休んでも
あまり影響がないと言う事実があります.
党議拘束されて,自由に自分の意思で投票行動できないなか
1人育児休暇取っても良いのではないでしょうか?
反対している皆様は,どれくらいの影響が出るのかを試算して見られたら良いと思います.

他方,宮崎代議士が育児休暇を取得することで,最初の一人となり,
男性の育児休暇の取得が進み,少子化に歯止めがかかり,
人口減が改善していくのだとすると,そこから得られる国益は大きなものです.

こういう場合,利益衡量をするのが通常ですよね.

わたしは医師ですから,論理学ではなく,倫理学の世界で生きております.
最大多数の最大幸福を実現するのが最大の目標です.

その見地からこの二つの状況を比較衡量すると,後者を選びたいと思います.

政治が多数決(だけではありませんが)である以上,このように考えていくと,
宮崎代議士に育児休暇を気持ちよくとっていただくのが
我が国の国益に最もかなっていると私は思います.

本年3月,内閣では,少子化社会対策大綱が閣議決定されました.
その中で,男性の育児休暇の取得を奨励することも決定されています.
閣議決定というからには,全会一致が原則です.

国の方針を自ら実現する.素晴らしい代議士ではないでしょうか?

大体,宮崎代議士だからこそ,育児休暇を取ることに対して
ここまでの議論を呼べるわけですよね.

それだけでも素晴らしいと思います.

女性が社会進出して,子育てとキャリアパスを両立するのは,今でも至難の業です.

一部の恵まれた人だけが実現可能なのではなく
誰もが願って努力したら叶うような社会が実現してほしいものです.

少子化対策と男女共同参画社会の実現は,両輪です.

女性が働きやすい社会というのは,男性も働きやすい社会なのではないでしょうか?

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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