【セカンドオピニオン】婦人科がん①ダビンチ200万!

セカンドオピニオンのご依頼をいただき,お話を伺いました.
子宮体癌,手術は可能だが抗がん剤をしないといけない,ダビンチで手術するなら200万自費で支払え.この場合のダビンチによる手術は保険適応でないので自費になる.
そうでない場合は,大きく開腹することになる
手術は*月×日.
そういわれて,心の整理がつかないということでした.

自分は手術したくないけど,家族が手術しろというとか.
はらえないわけではないけど,どんな手術かろくに説明もせずにいきなり200万という話ばかりで
こんなところで手術受けていいのか疑問に思うとか.
いろんなことをおっしゃっていました.

わたしは,とりあえず自分のしたことではなくてもあやまります.
医師の行いで不信感を増して,治療に向き合えない,という情況は改善しないといけないので
気持ちの整理ができない状況の中,畳みかけるように話を進めてしまったという結果になっていることに関して
どういう話をしたのか確認はできないのだけど,その結果こういう気持ちになって私のところに来たことについては
同じ医師として大変申し訳なく思います,今後,医師のコミュニケーションスキルの向上に取り組まねばならないと
いう風に感じましたので,鋭意努力いたしますので,お許しください.
現状,がんがあるわけですので,どういう風に治療するかを一緒に考えましょう.
まずは手術してとり切れるのであれば,取るのが好ましい,ということを最初にお伝えします.
命よりも性器が大事です,と宣言するならそれはそれで違う選択肢をともに探ることになるのですが.
そこまでの覚悟ではないということであれば,標準治療というのは名称が良くないのですが
その疾患のその状態に対する最高の治療というのが標準治療なので,取れる状態であるならば
手術を受けるということが通常です.
手術したら死なない,ということをお約束することはできませんが
何を求めて治療するのかしないのかということを考えたとき,治りたいということであれば
それに対して一番確率が上がる治療方法を選択する,ということになります.
どんな治療にもいい点悪い点があるので,こちらがこれにしなさいと決めてお伝えするものではありません.
わたしたちがすべきことは,患者さんが自分の意志で選択できるように
正確な情報を余すことなくお伝えすることなのです.
そのうえで,選ぶのはご自身なのですよ.

そういう話をしました.

この患者さんは何日かにわたりお話しをいたしましたが
だんだんと気持ちの整理がついて,手術を受けました.

それにしても,結構ダビンチの症例が多い施設らしいですが,いきなりですよね.
がんに関しては,放置療法なんて本が飛ぶように売れていて,非常に残念に思っています.
いや.別にきちんと理解したうえでの選択であればよいのですが.
医師の説明の仕方が悪くて,患者さんたちを不安にしてしまい,向き合う勇気がなくなり
手術その他の治療を拒否する,なんてことになっている例もよく聞きます.

ほかの選択肢はないんですか?
この簡単な質問をするために,私のところに来る人たちがいます.
目の前の主治医に質問できるのが一番いいですが.
それでも.主治医に聞けなくて,誰かに聞いてみたい,そんな感じでしょう.
別にいいですよ.
わたしと話をして,落ち着いて治療と向き合えるようになる人たちがいる.
こうして開業してよかったな,と思います.

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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