【疑惑】ヒロクリニックNIPT虚偽広告|”トップページ”を斬る

出生前診断 遺伝子検査

注意点
ヒロクリニックがNIPTで全染色体部分欠失・重複疾患なる概念をぶち上げていて、測定不可能なものを可能なように見せかけていると警告してきました。ところがトップページにも医業広告規制違反があるのではと感じますのでレポートします。

このページを作ったのは、「公益的」目的です。医業広告が規制されているのは、患者さんが自由意思で医療機関を選択することの妨げになることを阻むためです。それに、虚偽の広告はどの世界でも忌避されなければなりません。皆さんに、「本当のこと」をお知らせしたいという遺伝専門医としての思いでこのページを作りました。事実を適示して相手の社会的地位を棄損すると名誉棄損になるのですが、「真実性」と「公益性」があれば違法性は阻却されます。わたしは医師歴8年目に中央大学法学部に行きましたので、それらの知識を生かしてこれからも、患者さんのためにならない虚偽広告と戦いたいと思います。

虚偽かどうか自体は不明ですが
ヒロクリニックトップ

こちらもわたしには気になります。
私、医業広告規制にはうるさいので。
月間検査数を広告する事はガイドライン上、認められてます?
それでは、まず気になる点を順番に見ていきましょう。
ヒロクリニック問題点

”経験豊富な”産婦人科医とは何をさしているのか?

産婦人科医といっても、胎児診断はわりと特殊な分野であることから、胎児診断に関わる仕事をしている医師はそう多くありません。
ところで、”経験豊富な”とはいったい何を根拠に言っているのでしょうか?(これに対して専門医であることは広告可能な事項として法定されています)
医業広告ガイドラインからすると、

www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000209841.pdf
こちらのリンクに医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)がありますが、この中で言及されている禁止行為が医科になります。

(2) 禁止される広告の基本的な考え方
法第6条の5第1項の規定により、内容が虚偽にわたる広告は、患者等に著しく事実に相違する情報を与えること等により、適切な受診機会を喪失したり、不適切な医療を受けるおそれがあることから、罰則付きで禁じられている。
同様の観点から、法第6条の5第2項の規定及び医療法施行規則(昭和 23 年厚生省令第 50 号。
以下「省令」という。)第1条の9により、次の広告は禁止されている。
(ⅰ) 比較優良広告
(ⅱ) 誇大広告
(ⅲ) 公序良俗に反する内容の広告
(ⅳ) 患者その他の者の主観又は伝聞に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談の広告
(ⅴ) 治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等の広告

引っかかりそうなところに下線を付けました。
(ⅰ)「経験豊富だ」ということは、経験が少ないところに比べてよい、というイメージを抱かせる表現ですので、具体的に何の経験がどれだけあるのかをたとえば勤務先の院長が証明する、などの提示ができないようであれば、認められがたいのではないかと思います。
(ⅳ)に関しては、「経験豊富」を規定する根拠に欠けますので、たとえば学会等の第三者が、「これだけの経験をしていれば豊富と表現してよい」と決めていなければ、「治療等の内容」の「等」に検査が含まれますので、これにも抵触すると考えられます。
(ⅴ)に関しては、「経験豊富だ」からよい、と「治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等の広告」に該当するでしょう。幅広く解釈できるために「等」という文言が入っています。

結論としては、医業広告ガイドラインに違反する可能性が非常に高いと考えています。

国内検査5000件、予約件数1か月1000件は広告可能か?

www.mhlw.go.jp/content/10800000/000371826.pdf

医業広告ガイドラインQ&Aの記載

Q3-16 特定の医師のキャリアとして、その医師が行った手術件数は、広告可能でしょうか。(P.27)
A3-16 医師個人が行った手術の件数については広告できません。なお、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトなどについては、広告可能事項の限定解除要件を満たした場合には、広告可能事項の限定を解除可能ですが、求められれば裏付けとなる根拠を示し、客観的に実証できる必要があります。
また、当該医療機関で行われた手術の件数については、広告可能事項で示した範囲で広告可能です。
Q3-17 当該医療機関で行われた手術件数について、例えば過去 30 年分の件数は、実績として広告可能でしょうか。(P.27)
A3-17 当該医療機関で行われた手術件数について、当該件数に係る期間を併記すれば、広告可能事項で示した範囲で広告可能です。ただし、手術件数は総手術件数ではなく、それぞれの手術件数を示し、1 年ごとに集計したものを複数年にわたって示すことが望ましいです。過去 30 年分のような長期間の件数であって、現在提供されている医療の内容について誤認させるおそれがあるものについては、誇大広告に該当する可能性があります。

これが医業広告ガイドラインのQ&Aで件数というキーワードで検出した該当箇所ですが。手術件数は一定の基準を満たせば広告可能ですが、予約件数や検査件数は可能とは書かれてありません。週明けに厚生労働省に問い合わせてみようかな。

医業広告ガイドラインの記載

広告可能な事項の具体的な内容広告可能事項についてが定められていますが。

(13) 法第6条の5第3項第 13 号関係
「当該病院又は診療所における患者の平均的な入院日数、平均的な外来患者又は入院患者の数その他の医療の提供の結果に関する事項であつて医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるもの」については、医療の提供の結果に関する事項は、医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして広告告示に規定された平均的な入院日数等に限り、広告が可能であること。
死亡率や治癒率等については、対象となった患者の状態等による影響も大きく、適切な選択に資する情報であるとの評価がなされている段階にはないことから、医療機能情報提供制度において報告が義務付けられた事項についてのみ、広告が可能であること。
ア 当該病院又は診療所で行われた手術の件数(広告告示第3条第1号関係)
手術件数については、治療の内容として広告可能な範囲の手術の件数とし、以下に掲げるものに限られるものとすること。
① 診療報酬点数表で認められた手術(自由診療として実施する場合を含む。)
② 先進医療として届出された手術(自由診療として実施する場合を含む。)
③ 医薬品医療機器等法の承認又は認証を得た医療機器を使用し、承認又は認証された範囲で実施された手術手術件数を広告する際には、当該手術件数に係る期間を暦月単位で併記する必要があること。また、広告された内容(手術件数)の正否が容易に検証できるようその広告された手術件数について、ウェブサイト、年報等広く住民に周知できる方法により公表されていること
イ 当該病院又は診療所で行われた分娩の件数(広告告示第3条第2号関係)
分娩件数を広告する際には、当該分娩件数に係る期間を暦月単位で併記すること。
また、広告された内容(分娩件数)の正否が容易に検証できるようその広告された分娩件数について、ウェブサイト、年報等広く住民に周知できる方法により公表されていること。
ウ 患者の平均的な入院日数(広告告示第3条第3号関係)
患者の平均的な入院日数は、次に掲げる計算式により計算すること。広告する際には、当該平均在院日数に係る期間を暦月単位で併記すること。
また、広告された内容(平均在院日数)の正否が容易に検証できるよう、その広告された平均在院日数について、ウェブサイト、年報等広く住民に周知できる方法により公表されていること。当該医療機関全体、病床区分、病棟、診療科(広告が可能な診療科名に限る。)、疾病ごとの平均在院日数を広告することも差し支えないこと。
在院患者延数
1/2×(新入院患者数+退院患者数)
ただし、病床区分等ごとに計算する場合の平均在院日数にあっては、
在院患者延数
1/2×(新入院患者数
+同一医療機関内の他の病床等から移された患者数
+退院患者数
+同一医療機関内の他の病床等へ移された患者数)
エ 在宅患者、外来患者及び入院患者の数(広告告示第3条第4号関係)
在宅患者、外来患者又は入院患者の数を広告する際には、当該患者数に係る期間を暦月単位で併記するとともに、広告された内容(患者数)の正否が容易に検証できるようその広告された患者数について、ウェブサイト、年報等広く住民に周知できる方法により公表されていること。また、疾患別に広告することも可能であるが、正確な管理記録により、正確な数値であることを事後検証可能な場合に限ること
オ 平均的な在宅患者、外来患者及び入院患者の数(広告告示第3条第5号関係)
エ の患者の実数と同様に、月別等の在宅患者、外来患者又は入院患者の平均数を広告する際には、当該患者数に係る期間を暦月単位で併記するとともに、広告された内容(平均患者数)の正否が容易に検証できるようその広告された患者数について、ウェブサイト、年報等広く住民に周知できる方法により公表されていること。
また、疾患別に広告することも可能であるが、正確な管理記録により、正確な数値であることを事後検証可能な場合に限ること。

カ 平均病床利用率(広告告示第3条第6号関係)平均病床利用率は、次に掲げる計算式により計算すること。
また、平均病床利用率を広告する際には、当該平均病床利用率に係る期間を暦月単位で併記するとともに、広告された内容が容易に検証できるよう、ウェブサイト、年報等広く住民に周知できる方法により公表されていること。なお、当該医療機関全体、病床区分、病棟、診療科(広告が可能な診療科名に限る。)、疾病ごとの平均病床利用率を広告可能であること。
1日平均在院患者数
算定に係る期間の末日の病床数
キ 厚生労働大臣が指定する病院の病棟における療養に要する費用の額の算定方法(平成 20 年厚生労働省告示第 93 号)に基づく機能評価係数Ⅱにおいて公表した場合に評価される病院情報厚生労働省保険局医療課が定める条件等に従って集計した事項を同課が定める手順に従う場合に限り広告可能であること。
ク 治療結果に関する分析を行っている旨及び当該分析の結果を提供している旨(広告告示第3条第7号関係)
治療結果に関する分析を行っている旨又は当該分析の結果を提供している旨については、その検討をする検討会の開催頻度や構成メンバー、分析結果を入手法等についても広告可能であるが、当該分析の結果そのものについては、広告が認められていないことに留意すること。
ケ セカンドオピニオンの実績(広告告示第3条第8号関係)
いわゆるセカンドオピニオンの実績として、他の医療機関に紹介した患者数及び他の医療機関から紹介を受けた患者数を当該患者数に係る期間を示した上で、広告可能であること。
患者満足度調査を実施している旨及び当該調査の結果を提供している旨(広告告示第3条第9号関係)患者満足度調査を実施している旨、当該調査の結果を提供している旨又は当該調査の結果の入手方法等については広告可能であるが、当該調査の結果そのものについては、広告が認められていないことに留意すること。

医業広告ガイドライン上は、要するに【数字を出すのであれば検証可能な方法で出すこと】と定められているのがわかると思います。

そして、医業広告ガイドラインでは広告してよい内容は決まっているので、『患者満足度調査』は広告できません。(セムクリニックとかやってた気がします)

さらに、『予約件数』は広告してよい内容として書かれていないため、アウトでしょう。
だって、『「当該病院又は診療所における患者の平均的な入院日数、平均的な外来患者又は入院患者の数その他の医療の提供の結果に関する事項であつて医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるもの」については、医療の提供の結果に関する事項は、医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして広告告示に規定された平均的な入院日数等に限り、広告が可能であること。』とありますから、ここに記載のない事を広告してはいけない、ってことです。

おかしいですね。ヒロクリニックの経営者の岡博史先生は慶應卒ですが。こんな日本語も読めないのかな???

まとめ

以上より、ヒロクリニックHPのトップページの 国内検査5000例 予約1か月1000件 は医業広告的にアウトと思います。
皆さん、是非、みなさんの安全を脅かすこうした医業広告ガイドライン違反を見かけたら保健所に通報してください。

iryoukoukoku-patroll.com/
ここからも通報できます。

ヒロクリニックって、厚生労働省とか怖くないんですかね?
わたしは怖いので、医業広告ガイドラインをきっちり勉強して守っております。はい。

ひとこと
だれかヒロクリニックにちゃんとした医業広告のわかるコンサル付けてあげて頂戴。忙しすぎて目が回る。
プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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