三重大学病院向精神薬を紛失|不祥事に記者会見なしの不誠実

三重大学麻酔科問題 仲田洋美オフィシャルブログ for medical 仲田洋美の独り言

正義の女神

みなさま、こんばんわ。
また三重大病院の不祥事が出ました。

www.asahi.com/articles/ASP306DXFP30ONFB01G.html?iref=comtop_Apital_01

睡眠導入剤、4500錠が所在不明 三重大病院が被害届
大滝哲彰

2021年3月31日 19時30分
三重大病院(津市)は31日、不眠症の患者らに処方する睡眠導入剤「ゾルピデム錠」100錠を紛失したと発表した。このほか、3種類の睡眠導入剤計約4400錠も紛失した可能性が高いことも明らかにした。病院は同日付で津署に被害届を提出した。

病院によると、紛失の可能性が高いのは「ゾルピデム錠」「ブロチゾラム錠」「ハルシオン錠」。いずれも、麻薬及び向精神薬取締法で第3種向精神薬に指定されている。
3月23日朝、担当者が錠剤棚にあるゾルピデム錠の数量を確認したところ、100錠がなくなっていることに気付いた。翌24日以降に病院で扱う向精神薬44品目の過去3年分の購入数と処方数を確認した結果、ゾルピデム錠約2700錠、ブロチゾラム錠約1300錠、ハルシオン錠約400錠が所在不明になっていることが明らかになった。病院は少なくとも昨年11月からなくなっていた可能性が高いとみている。

病院は今後、発注量と在庫量を毎月照合することとし、薬剤部内の防犯カメラを2台増設するなどの対策も取るという。(大滝哲彰)

一般の人にはわかりにくいこの問題を解説しましょう。

麻薬や向精神薬は厳しい管理が求められる

www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/yakubuturanyou/dl/kouseishinyaku_01.pdf

こちらが厚生労働省が出している 病院・診療所における向精神薬取扱いの手引 です。

そして、今回問題になった薬品は、ゾルピデム、ブロチゾラム、ハルシオン(トリアゾラム)で、すべて向精神薬の第3類に該当します。

保管方法に関する規則

保管(法第50条の21・施行規則第40条) ※麻薬取締法と同施行規則
(1) 譲り受けた向精神薬は、次により保管しなければなりません。
① 病院・診療所の施設内に保管すること。
保管する場所は、医療従事者が実地に盗難の防止に必要な注意をしている場合以外は、かぎをかけた設備内で行うこと。
〔例〕
a) 調剤室や薬品倉庫に保管する場合で、夜間、休日で保管場所を注意する者がいない場合は、その出入口にかぎをかけること。日中、医療従事者が必要な注意をしている場合以外は、出入口にかぎをかけること。
b) ロッカーや引き出しに入れて保管する場合も、夜間、休日で必要な注意をする者がいない場合には、同様に、ロッカーや引き出しあるいはその部屋の出入口のいずれかにかぎをかけること。
c) 病棟の看護師詰め所に保管する場合で、常時、看護師等が必要な注意をしている場合以外は、向精神薬を保管するロッカーや引き出しに鍵をかけること。
(2) ペンタゾシン、ブプレノルフィン等の向精神薬注射剤については、特に乱用・盗難のおそれが高いので保管管理を厳重にし、不正使用や盗難防止に一層留意してください。

ここから、「人が見ていない時間」に関しては「鍵のかかるところに保管」という規定とみて取れます。

かぎをかけた設備とは?

これは金庫などを普通は想定しそうですが、「鍵のかかる部屋でいい」とざっくりなことを本日電話した三重県庁の麻薬の係りのお兄さんは言ってました。

記録方法に関する規則

記録(法第50条の23第2項及び第4項)
第1種向精神薬又は第2種向精神薬を譲り受け、譲り渡し、又は廃棄したときは、次の事項
を記録し、この記録を最終記載の日から2年間保存しなければなりません。
① 向精神薬の品名(販売名)・数量
② 譲り受け、譲り渡し、又は廃棄した年月日
③ 譲受け又は譲渡しの相手方の営業所等の名称・所在地
(注)
a) 患者への向精神薬の交付、施用、患者に交付された向精神薬の返却、返却を受けた向精神薬の廃棄については、記録の必要はありません(施行規則第42条)。
b) 同一法人の病院・診療所との間で譲受け又は譲渡しがあった場合も、記録する必要があります。
c) 向精神薬が記載された伝票の保存をもって記録に代えることができますが、向精神薬が記載されていない伝票とは別に綴ってください。
d) 第3種向精神薬については、記録義務はありませんが、譲受けについて記録し、定期的に在庫確認をすることが望ましいです。

ここから、今回紛失(または盗難)したゾルピデム、ブロチゾラム、ハルシオン(トリアゾラム)に関しては、記録義務はないけれども努力規定としては記載されているので、通常の病院であれば記録を取っています。

事故に関する規則

事故(法第50条の22・施行規則第41条)
病院・診療所で所有する向精神薬について、下記の数量以上の滅失、盗取、所在不明その他の事故が生じたときは、すみやかにその向精神薬の品名、数量その他事故の状況を明らかにするために必要な事項を「向精神薬事故届」により都道府県知事に届け出てください。
* 下記以下の量であっても、盗取・詐取等の場合には、都道府県知事に届け出ると共に警察署にも届け出てください。
末、散剤、顆粒剤 100グラム(包)
錠剤、カプセル剤、坐剤 120個
注射剤 10アンプル(バイアル)
内用液剤 10容器
経皮吸収型製剤 10枚
* ODフィルム剤は「錠剤」にあたります。

ここから、今回紛失(または盗難)したゾルピデム、ブロチゾラム、ハルシオン(トリアゾラム)は第3種向精神薬で譲り受け・譲り渡しの帳簿は書かなくてもいいが、120錠が行方不明になると都道府県知事ならびに警察署に届ける義務があるので、結局は普通の医療機関であれば帳簿を付けるという事になります。

三重県庁の麻薬担当に直撃取材した結果

三重大病院は薬剤庫に防犯カメラがなかったのか?

回答:なかった。今回のことを受けて防犯カメラを設置するよう指導した。
洋美:リスクマネージメントを何だと思ってるんだ。こういう事態が起こらないようにするのがリスクマネージメントじゃないか。指導する側の県が全然医療安全がわかってないから三重大学病院がこんなザマなんだよ(*`Д´)ノ!!!

三重大学病院に第3種向精神薬の帳簿を付けるよう指導したのか?

回答:当然、望ましいという指導は再三にわたりしている。
洋美:いうこと聞いてもらえないってバカにされてんじゃないの?
回答:そういう事実はない。
洋美:じゃあ癒着してるってことでしょ?
回答:そういうこともありえない。
洋美:ありえないことがあることがあり、「ない」はずのことが「ある」可能性を探り、「疑わしきはばっする」のがリスクマネージメントの考え方なのに一切わかってない人たちが行政を担当してるってことね。

報道されていない付加事項

なんか足らない、と気が付いたその日に1箱が紛失したようで、そこから過去3年間の納入量と処方量を比較したら結局、ゾルピデム、ブロチゾラム、ハルシオン(トリアゾラム)が4500錠足らないことが発覚したという事です。3年間で、です。それ以上さかのぼったらもっとあるかもしれないってことですよね。
しかも、防犯カメラもない状態で、紛失なのか盗難なのかも区別すらつかないって、本当に三重大学病院は特定機能病院取り消しでいいと思います。

まとめ

三重大学病院が大学病院としてはおろか、通常の病院としても通用しないレベルであるという事が判断されると思います。この件で記者会見もしていません。
三重大学の皆さん、ほんと大変ですね。かけることばも思いつかなくなってきました。。。

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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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